巨人ファンにとってストレスのたまる戦いが続き、原辰徳監督に対する風当たりも強くなっている。積み上げた実績を見ると、名将であることは間違いない。3度にわたって監督に就任し、在任15年間で9度のリーグ優勝、3度の日本一。ただ、「勝てば官軍」と言われる世界で、ファンが求める水準は高い。19、20年にリーグ連覇を飾ったが、ソフトバンクに日本シリーズで史上初の2年連続4連敗。21年は9月以降10勝25敗8分と大失速して借金1で3位に。昨年も68勝72敗4分で2年連続シーズン負け越した。巨人の監督で2年連続負け越しを経験したのは原監督が初だった。

 今季が3年契約の2年目。3年連続V逸になれば指揮官の責任問題が問われるが、巨人を取材するスポーツ紙記者はこう語る。

「原監督以外に現状のチームを立て直せる人材がいるかというと難しい。球団フロントは3年で立て直してほしいという思いを込めているので、来年も続投が既定路線だと思います。松井秀喜さん(現ヤンキースGM特別アドバイザー)の監督待望論が強いですが、現実味が薄い。NPBでコーチ経験もないですし、このチーム状況で監督をやらせるのは考えづらい。阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチが次期監督の最有力候補ですが、原監督が退任してバトンタッチするタイミングとして早いように感じる。原監督の育成手腕が疑問視されますが、門脇誠、秋広優人、山崎伊織、横川凱ら若手が頭角を現している。セットアッパーで田中千晴、菊地大稀も多少の失敗に目をつむって我慢強く起用しているように、今は変革期です」

 主力選手たちの力に陰りが見えている中、チーム再建は容易ではない。菅野智之は右肘の違和感で開幕前に戦列を離れ、今季1軍未登板。坂本勇人丸佳浩も打撃不振でスタメンを外れるなど絶対的レギュラーではなくなっている。原監督の戦い方にも覚悟が見える。5月に入り、門脇を三塁でスタメン起用。侍ジャパンでWBC優勝に貢献した主将の岡本和真を一塁に回した。門脇は三塁の守備能力が高く、球際に強い上、強肩で送球も安定している。一方で打率1割台と打撃で試行錯誤を繰り返したが、原監督はスタメンで使い続けた。将来の巨人を背負って立つという期待を込めて起用している側面もあるだろう。長打力とミート能力を兼ね備えた20歳の強打者・秋広も5月下旬以降は3番打者に固定。過去の実績を問わず、「実力至上主義」を貫いている。

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巨人の監督は生え抜きの『純血主義』