アルバム「ブラック・レディオIII」で5度目のグラミー賞(第65回グラミーション/ベストR&Bアルバム)を受賞したことも記憶に新しいロバート・グラスパー。5月に来日公演を行った世界的ジャズミュージシャンへの単独インタビューが実現した。
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■来日公演は連日ソールドアウト
5月29、30日にBillboard Live東京で行われた来日公演は、全ステージが発売早々にソールドアウト。日本での人気ぶりを改めて証明した。
まず登場したのはDJのジャヒ・サンダンス。先鋭的なヒップホップがプレイされるなか、ロバート・グラスパーとバーニス・トラヴィスII(ベース)、ジャスティン・タイソン(Dr)がステージに上がり、演奏がはじまった。ジャズ、R&B、ヒップホップ、オルタナティブ・ロックなどを融合したアンサンブル、メンバー個々のセンスと技術を活かしたインプロビゼーション。ジャズの伝統と革新を同時に感じさせる演奏で満員の観客を惹きつける、最高のステージだった。
2010年代以降の世界のジャズシーンを牽引し、多くのミュージシャンに影響を与えているロバート・グラスパーは、日本でも頻繁にライブを行ってきた。昨年12月、コロナが少し収まりかけていた時期にいち早く来日し、カウントダウン・ライブを行ったことも印象に残っている。
「自分のスタジオを作って、娘が誕生して。パンデミックの時期も良いことはたくさんありました」というロバート・グラスパー。昨年からはツアーも再開し、度々日本を訪れている。
「日本には20年くらい前から何度も来ています。日本の文化やファッションが好きだし、何より音楽を好きでいてくれる日本の人たちが大好きなんです。私にとって日本は、平和を感じられる場所。その雰囲気を吸収した状態で曲を作るのは、すごくいいことだと思います。とにかくずっと旅をして、演奏しているので、無意識のうちに何かに影響されたり、受け取っているものがあるんでしょうね。日本に来たら必ず買うもの? 僕は日本のファッションが好きだけど、残念ながら自分には合うサイズがない(笑)。妻や子どもは着物がほしいと言っています。必ず買うものはキットカットかな。いろんな味があるのは日本だけだから(笑)」