「1店舗では足りないとなって、もう1店舗出したほどでした。京都を訪れた富裕層や訪日外国人がさらに京料理を堪能できるようにと割烹料理まではじめて。京都らしい新たなビジネスを彼(宮本容疑者)に発案させ、やらせたのが叔母です。ベースとなったお茶屋さんの不動産は叔母の会社で所有している物件です。開店資金を出したのも、舞妓さんを呼ぶような人脈も叔母からだと聞いています」

 舞妓ビジネスの大成功とともに、宮本容疑者の生活ぶりも大きくかわる。車は高級外車となり、毎晩のように京都の「一見さんお断り」のような店を飲み歩く。

「宮本容疑者がスマートフォンをいじっていたので、何を探しているのかと聞くと『東京にうまいものを食べに行きたい』とえらい高級な店を見せてくれた。『北海道に寿司を食べに行く。日帰りじゃ無理そう』『大阪の北新地にいい店があるが、コロナなので貸し切ろうか』とか、えらい景気がいい話をしていました」(前出の友人)

 この時期、彼女のように連れ歩いていたのが、タリウムで殺害されたとされる女子大生だった。2022年10月、宮本容疑者と飲食した翌日に体調を崩し、その3日後に呼吸不全で死亡した。吐いた物や尿から致死量(約1グラム)を超えるタリウムが検出された。

 大阪府警は、女子大生のマンションでタリウムを摂取させ、殺害した疑いで今年3月に宮本容疑者を逮捕。周辺を捜査するなかで、叔母が2020年7月ごろに体調を崩して入院し、意識不明の状態が続いていることを確認した。医療機関が保管していた叔母の血液を鑑定したところ、タリウムが検出された。

 一方、叔母が倒れた2カ月後、宮本容疑者は叔母に代わり、一族の不動産を管理しているS社の社長に就任している。

 捜査関係者によると、2020年7月下旬から叔母の預金口座から現金が引き出され、1年間で5千万円ほどが宮本容疑者の手に渡っていた。

 宮本容疑者が再逮捕されたとき、口座には3千万円ほどあったといい、S社や叔母が所有していた不動産の一部も売却されていた。

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計画的な動機がうかがえる