田村耕太郎著『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』(朝日新聞出版)※Amazonで本の詳細を見る
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 こちらがゆったり構えて、「そんなこと世界の終わりじゃないんだから」という“雰囲気”で受け止めるのがコツだ。そうすると、相手から発せられる嫌な空気はそこで止まり、相手も「なんかくだらないことにとらわれていたのかも」と思い直すだろう。

 気をつけなくてはならないのが、決して説教調で言ってはいけないということ。相手には相手の事情があるし、あなた自身に非がある可能性もある。だからこそ、あなたからその言葉が発せられると、相手に火をつけてしまう恐れがある。

「世界の終わりじゃない」といったセリフは一言も言わずに、そういった佇まいでニコニコふんわりと受け止めてあげよう。相手がよほど間違った道を歩もうとしている場合でないのなら、相手の意見を受け入れてふんふんと聞いて、そして認めてあげよう。

 こうした振る舞いを自然にできることこそ、相手への心からの好意が根底にあるという証拠の一つになるのかもしれない。お互いにこのような関係を築いていければ、その空間はさらに居心地の良いものに自然となっていく。

 ただ、そういう気持ちが自然と持てないなら、一緒にいない方がお互いのためかもしれない。あまりに不満をぶつけられることが重なり、我慢の限界が試されるようなときは、いったん距離を置いて関係性を冷静に見直す必要がある。

 アホとは正面から対立してはいけない。時には褒めて、寛容さとリスペクトを持って共感し、適度な距離感を保つことで、共存できるアホもいる。そうやってアホを取り込めば、アホなどいないも同然だ。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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