人生での「アホ」との出会いはチャンス?(koyu / iStock / Getty Images Plus)
人生での「アホ」との出会いはチャンス?(koyu / iStock / Getty Images Plus)
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 理不尽な言動で周囲を振り回す“アホ”との付き合い方を伝授した、シリーズ80万部突破のベストセラー待望の最新作『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』が発売された。コロナ禍を経てさらにパワーアップした「アホ対処法」を、同書から一部を抜粋して解説する。今回のテーマは「アホに出会ったときの受け流し方」について。

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 職場でピリピリして八つ当たりしてくるアホは、徹底的にやり過ごせばいい。

 しかし、家庭や親類関係などでいきり立つアホがいたらどうすればいいのだろうか。多少は思うことがあっても、その場では共感してストレスを受け流すというしたたかな戦略をとればいい。

 私も昔は八つ当たりのようなことをしたことがあった。しかし、不機嫌を人にぶつけても、筋肉は凝るし血圧にも影響が出るし、病気になりそうでいいことは全くなかった。怒って毒を吐いても、人間としての品性の低下を見せるだけだったのだ。

 その後、嫌なことがあっても淡々と受け流すことに決めた。それによって徳を積めるし、人間的な魅力も増すということにも気がついた。

 そんな私の経験からお願いしたいのは、逃げ場のない場所でピリピリと八つ当たりを受けたら、真正面から対峙せず、大らかに受け止めてみることだ。

著者の田村耕太郎さん(撮影:小原雄輝)
著者の田村耕太郎さん(撮影:小原雄輝)

 残念なことに、日本は“ピリピリ国家”だ。私は今シンガポールに住んでいるが、日本に帰ってくるたびに街中の人からピリピリとした空気を感じる。それだけ余裕を持てない中で暮らしている方が多いのだろう。

 厄介なことにこうした空気は伝染する。ピリピリした人にこちらも同じ態度で返しているとその“ピリピリ”が空間の中で拡大するのだ。同じ空間の中に不機嫌な人がいることの影響力はそれほど大きい。

 それでは、ピリピリのまっただ中に自分が置かれたらどうすればいいだろうか。ピリピリの原因なんて、ほとんどが些細なことだ。伝染や拡大を阻止するには、「ピリピリしないで」などと言ってしまうと逆効果。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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