この振り袖は、過去にもお召しになったもので、青木氏は続けてこう解説する。

「着物は19年9月16日にオーストリア、ファンダーベレン大統領を表敬訪問されたとき、帯は19年9月20日にハンガリー、アーデル大統領を表敬訪問されたときのものです。チャールズ英国王の戴冠式でもサステナビリティーがテーマの一つでしたが、佳子さまも近年のSDGsなどを念頭におかれていると思います。初の園遊会でしたが、様々な工夫を凝らしてお手持ちの衣装を、より素敵に着こなされていますね。佳子さまにとって、オーストリア、ハンガリー訪問は初の海外ご公務であり、内外からも評価を得たことと思います。このようなときに着用した着物と帯だからこそ、園遊会デビューにふさわしいと選択されたのかもしれません。何かと注目される難しいお立場ですが、ひとつひとつのご公務に真摯に取り組み着実にこなしていきたい、とお考えなのではないでしょうか。今回は、着物や帯の色柄の選択よりも、こうした姿勢に『自身をいっそう大切にされながら、新しい皇族女性の在り方』、言い換えれば『皇族としての自分らしい在り方』を模索されている『佳子さまらしさ』を感じます」(青木氏)

 佳子さまらしさに合わせて、母である紀子さまとの息の合った姿も素敵だったと青木氏は指摘する。

東京・元赤坂の赤坂御苑で行われた「春の園遊会」での秋篠宮ご夫妻と次女・佳子さま(代表撮影/JMPA)
東京・元赤坂の赤坂御苑で行われた「春の園遊会」での秋篠宮ご夫妻と次女・佳子さま(代表撮影/JMPA)

「紀子さまは、クリーム色の訪問着でした。梅や菖蒲といった花々に、雅楽の楽器である笙(しょう)や鼓が描かれています。雅な調べが聞こえてきそうな図柄です。帯は深い金色系の格のある蜀江柄(しょっこうがら)です。蜀江文とは中国から伝来した蜀江錦に織り出されている柄です。八角形と四角形がつながれたような文様で、きりっとした装いにまとめられています。雅楽という古典のモチーフや格式のある柄の帯を選択された紀子さまから、皇族としての矜持を保つ姿勢を感じます。紀子さまと佳子さまは、着物の地色をクリーム色に合わせられ、ヘアスタイルも下ろしたまま。親子でお立ちになったときに、とても良いバランスです。おふたりとも、下ろしたヘアスタイルで、あまり気張らない自然さを大切にされたお心を感じました」(青木氏)

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