5月11日に東京・元赤坂の赤坂御苑にて開かれた令和初の春の園遊会。あいにくの雨の悪天候であったが、天皇、皇后両陛下に続いてお出ましになった女性皇族の方々が一列に並んだ着物姿は絢爛でまさに圧巻だった。それぞれの「らしさ」あふれる着物に関して、皇室の装いに詳しい歴史文化学研究者の青木淳子氏が解説する。
【写真】まさか1人だけドレスコードが伝わっていない?女性皇族がずらりと並んだ一枚
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園遊会の中盤は落雷もあったほどの悪天候だったが、晴れやかな気持ちにさせてくれたのは、天皇、皇后両陛下と招待者たちの弾む会話と、何より雅子さまのお召し物だ。
女性皇族のお召し物は、「平成」の時代の園遊会では和装、洋装を、当時の皇后陛下・美智子さまがお決めになったとされている。この春の園遊会は和装であったが、「もし令和も平成の流れを踏襲されているとしたら、今回の園遊会では、日本の代表的衣装である着物をお召しになる、と雅子さまが皇后としてお決めになったと考えられます」と青木氏は指摘する。
青木氏は今回の園遊会への雅子さまの気持ちをこう読み解く。
「和装は準備から着付けや身のこなしなど、洋装に比べて簡単ではなく、体への負担も大きいものです。でも、あえて和装になさったのは、コロナ禍からの久々の『あけ(明け)』や『ハレ(晴れ)』の気分を皆さまに味わっていただきたい、との思いがあったのではないでしょうか。そしてもちろん、そこに皇后としてのお気持ちが感じられます。園遊会での雅子さまの笑顔やお話ぶりを拝見すると、そのお気持ちは、皇后としての意気込みとかお覚悟とかいった、堅苦しいものではなく、自然体で、(国民の皆さまを代表していらっしゃる)招待客の皆さまを、晴れやかなお気持ちにさせたい、そしてそれを通して国民の皆さまにも、そう感じ取っていただきたい、そんなお心の表れではないか、と思いました」(青木氏)
そんな雅子さまのお隣にいる天皇陛下は、会話の中で声を出して笑い合うなどの様子も見られ、まさに天皇、皇后両陛下ともに自然体だった。