写真:ローソン提供
写真:ローソン提供

 グリーンローソンが既存店と一線を画するポイントは、会計システムにもある。有人のレジカウンターはなく、セルフレジのみ。モニターに映し出されるアバターが、遠隔地からオンラインで操作をサポートする。

 セルフレジの狙いを、先の藤井さんは「コミュニケーションをより強くするため」と強調した。アバターがいることによって基本的な接客はアバターに任せられる。リアルな従業員は売り場で顧客とコミュニケーションを取ることができる、と。6月には都内の直営店でアバターを通じた「手話で伝えるおもてなし」の導入を検討し始めた。

「アバターのジェスチャーや文字等の視覚情報により耳の聞こえない方とコミュニケーションを取るなどして、多くの方に、より買い物がしやすい雰囲気を作っていきたい」(藤井さん)

 グリーンローソンのオープンから約7カ月。箸やスプーンの撤廃、アバター接客などの取り組みに対する評判はどうか。

 藤井さんによれば、最初は厳しい意見の殺到を予想していた。だが、蓋を開ければ、取り組みへの理解は得られ「いい意味で予想外でした」と話す。

「特に入り口のアバターは、シニアの方が積極的に話しかけてくださったり、通学途中の小学生が声をかけてくれたりと、愛されています。地域の理解とお客さまの協力を得ながら、未来に優しい持続可能なビジネスモデルを構築していきたい」(同)

 リアルの従業員に加え、アバターも活躍させ、ローソンの想いを伝えていく──。(編集部・野村昌二)

AERA 2023年7月3日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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