そして三つ目、これがアメリカです。
アメリカはひじょうに混迷しています。ロシアが侵攻することで願わくばウクライナがつぶれて、アメリカがそこを支配できればというような目的を、最初は持っていたんだと思うんです。そして、ロシア経済が崩壊するだろうと。いろんなことを想像したはずですけれども、結局それらはまだ実現していません。
自分たちも結局、この長期戦に巻き込まれることになってしまって、経済危機に向かっているという状況があります。ここには、オルタナティブ(もう一つの選択肢)というのがあまり見えてこないわけですね。
このウクライナ戦争に負けてしまったら、アメリカの面目というのはつぶされてしまう。そして、アメリカという一種の帝国も、崩壊してしまうおそれがある。非常に危険な立場にいるわけで、不確実性を含んだファクターというふうに言えると思います。
四つ目がポーランドです。
これは歴史的な背景を踏まえても、対ロシアの戦争を必要としている国ですね。もう実際に、数万人の兵士がウクライナ側で戦っているというような情報もあるわけですので、ポーランドについてはひじょうにこれからも注目していくべきですね。
ロシアがたとえば、核攻撃の話などをぶちあげるときは、ポーランドのことを踏まえての話なんじゃないかというふうに私は見ています。
そして五つ目、最後がドイツです。
ウクライナ戦争におけるアメリカのそもそもの目的は、私からすると「ロシアとドイツを引き離すこと」だったわけですね。
22年9月26日にロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン「ノルドストリーム」が人為的に爆破された事件にも、それが如実に表れていました。西側のメディアでは「ロシア側の工作だ」という論調ですが、私はアメリカとイギリスが破壊したと確信しているんです。
ドイツは、ここまではアメリカにひじょうに従順だったわけです。けれども、アメリカの工業面での弱さというのが本当に表れてきたときに、ドイツがどういった行動に出るかというのは注目していくべき点ですね。