あの「国民的ドラマ」、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」が、放送開始10年を記念して、4月から再放送がスタートした。あまちゃんをイメージした、ラッピング列車まで走る。お茶の間だけでなく、地元も、再びあまちゃん熱で盛り上がる。AERA 2023年6月5日号の記事を紹介する。
【写真】あまちゃんファンによって実現した、ラッピング列車「三陸元気!GoGo号」
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日本中に笑いと涙をもたらした、あの朝ドラが帰ってきた。
「『じぇじぇじぇ』って、聞くたび元気になります」
都内の会社員の女性(40代)は楽しそうに話す。
2013年に放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」だ。東京になじめない女子高校生の天野アキ(俳優・のん)が、母・春子(小泉今日子)の故郷、太平洋に面した岩手県久慈市をモデルにした架空の町「北三陸市」を訪れる。そこで、祖母・夏(宮本信子)に憧れ、海女を目指し、やがてご当地アイドルになり、東日本大震災からの復興に奮闘する物語。驚いた時に使う方言「じぇじぇじぇ」が流行語になり、ロケ地巡りの「聖地巡礼」が始まった。放送終了後には「あまロス」なる言葉まで生まれるなど、社会現象を巻き起こした。その「あまちゃん」のアンコール放送が、放送開始10年を迎えたタイミングで、4月からNHKBSプレミアムとBS4Kでスタートしたのだ。
■異例の盛り上がり
再放送が始まると連日、ツイッターで関連ワードがトレンド入りするなど、ネット上をにぎわせている。「#あまちゃん」というハッシュタグも立ち、
<泣いて笑って笑って泣いた15分>
<エモく懐かしく、胸に響いて…そして爽やかで…。だけど最後の最後はクスッと笑わせてくれる…だから…最高>
といった書き込みも殺到し、異例の盛り上がりを見せている。
冒頭の女性は、「圧倒的にアキがかわいい」と言う。
「地味で暗くて向上心も協調性もない」と言われたアキが、母や祖母など強い個性の人たちの影響を受け、挫折しながらも成長していく。
「話の展開がわかっているのに、アキの夢や恋をドキドキしながら見守っています」(女性)
ドラマのロケ地も再び盛り上がりを見せる。
「じぇじぇじぇ発祥の地」記念碑が立つ、ロケ地の一つ久慈市宇部町。「久慈市観光物産協会」事務局長の向川(むかいかわ)智之さんによれば、このゴールデンウィーク(GW)期間中は、町には多くの老若男女のあまちゃんファンが県外からも訪れた。同協会が入る「道の駅くじ やませ土風館」にある「海女衣装体験コーナー」では、若者が海女の衣装に着替え撮影を楽しんだという。
「あまちゃんのすごさを実感いたしました」(向川さん)