1992年7月10日号の記事
1992年7月10日号の記事

■リストラ担当がクビを切られ…

 だが、不況の波は徐々に深刻化し、職場ではリストラの嵐が吹き荒れた。93年12月17日号の記事では、東京・有楽町にある国立の職業安定所「東京人材銀行」の室長のこんな談話を伝える。

<「最近は、人事担当だった人がよく来るんです。仲間を切って切って、最後に自分が切られたんですね。人事のスペシャリストといっても、他社では通用しないんで、なかなか求人がないけどね」

 求職カードをみると、印刷会社で人事二十年の経歴をもつ、五十五歳の人が専門知識・能力の欄にこう書いていた。

「勧奨退職実施、希望退職者募集」

 懲りない人である。高橋室長はこう付け加えた。

「ほっとけば希望月収の欄に、八十万円だの百万円だの書こうとする人が多い。どうしても大企業ぐせが抜けない。だからあなたはクビになったんでしょう、そういうとたいていの人は四十万円ぐらいに落とします。なかには『ばかにするな』と怒り出す人もいますけどね」>

 このころ、インターネットとパソコンの急速な普及が世界を変えつつあった。が、せっかく買ったパソコンも使い方がわからない人ばかり。96年10月18日号の記事では、アップルコンピュータなどのサポート部門に電話してくる「パソコン難民」について報じている。

<「つながらないよ! パソコンはちゃんとセットしているのに、どうなってんだ」

 と、電話口で中年男性に怒られた。「順を追って説明してください」と尋ねると、

「きのう買ったパソコンで、インターネットやろうと思って、電源を入れた」

 という。「それから?」と先を促すと、

「それから電話をかけた」>

 この男性は、電話さえかければネットにつながると思い込んでいたのだ。他にも黎明期ならではの逸話が出るわ出るわ……。

<「画面上の矢印が逆に動く」

 とクレームを受けたメーカーもある。これも故障ではなく、マウスを前後さかさまに持っていただけの話だった。

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