打者の助っ人は先述の通り、軒並み不振に陥っている。長年チームの主軸として活躍するビシエドが打率2割前半に低迷し、本塁打もわずか2本のみ。出戻り補強で期待されたアルモンテも二軍暮らしが続いている。また、メジャー通算41本塁打の実績を引っ提げ来日したアキーノに至っては、シーズン途中での帰国の可能性すら噂されている始末だ。

 だが、得点力が少ない中で逃げ切る形をさらに強化するという意味ではメヒアの補強も“悪くない”という意見も存在する。

「若手野手への転換期であり、打線には期待できない部分があるのはしょうがない。少ない得点を投手陣で守って逃げ切るしか勝ちパターンはない。ブルペンには祖父江大輔、清水達也や、抑えのライデル・マルティネスがいる。先発の頭数を揃えるという意味では間違った補強ではないと思う」(在京球団編成担当)

「パナマ代表右腕のメヒアは飛び抜けた球はないが、まとまっていて大崩れの心配がない。性格は中南米人特有の明るさがあり、同時に真面目で練習熱心。26歳と若くて伸び代もあるので、大化けするかもしれない」(中日関係者)

 まだ、今回の補強が正解か否かを判断するのは早計だ。だが、中日は資金力が豊富ではないだけに、ドラフトで獲得した自前の選手を育てるのはもちろん、トレードや助っ人補強で上手くやりくりするしかチーム強化の道はない。今回のような補強が失敗してしまうと、さらなる苦境に陥る可能性もあるが、今後チームに必要とされることは何なのだろうか。

「新聞不況が続く中、親会社の中日新聞社の経営が苦しいのは周知の事実。ファンの間では身売り待望論もある。今後も球団運営に莫大な資金投入は難しく、やりくりで戦うしかない。まずは敏腕GMを招聘するなど、編成部の徹底強化から始めるしかないのではないでしょうか」(中日担当記者)

 現状ではドラフトで獲得した期待の若手の伸び悩みが目立ち、近年のトレードでも効果的なものはない。このまま低迷が続きそうな悪い予感も漂うが……。

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育成力アップも今後の課題か