現代の科学技術では、クリプトンの赤橙色の光でさえ対応できないほどの高精度を求められる。そこで採用されたのが光速度「c」である。1983年時点で最も正確な値である毎秒2億9979万2458分の1に等しいと定義されている。「秒」は原子時計で計測しており超高精度が実現される。
人類は、物理的物体に依存せず、光速度など普遍的な物理定数に完全に基づくシステムを承認し始めている。真の測定システムが誕生したことに他ならない。
※ 当初の本文中に以下のような誤りがあり、訂正しました。
(誤)「1789年」に「アルシーヴ原器と呼ばれる白金の棒が製作された」→(正)「1799年」に「後に『アルシーヴ原器』と呼ばれる白金の棒が製作された」。
メートル条約に署名した年(誤)1975年→(正)1875年
●著者:ピエロ・マルティン
イタリアのパドヴァ大学の正教授。専門は、実験物理学(熱核融合)。物理学の進歩に貢献した人物として、アメリカ物理学会で「フェロー」に選出されている。国際雑誌に120 本以上の科学論文を執筆し、パドヴァでのRFX 実験、欧州特別委員会の「ユーロフュージョン中型トカマク」など、大規模な国際研究プロジェクトの科学責任者を務める。
●訳者:川島 蓮
翻訳・通訳者、文化人類学およびジェンダー学研究者。オーストラリア国立大学博士号取得(PhD., International, Political and Strategic Studies)。NHKワールドニュース同時通訳、在日本メキシコ大使館、国連女性開発基金(UNIFEM、現UN Women)勤務、イタリアのローマ・サピエンツァ大学非常勤講師などを経て、現在に至る。
●執筆者:富山佳奈利
総合電機メーカー、宇宙航空研究開発機構(JAXA)等を経て、2016年よりサイエンスライターとして活動。数多くのインタビュー記事を執筆し、過去21冊以上もの書籍出版に協力した実績がある。
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