さらに言えば、筆者はエンゼルスが今季中に大谷をトレードに出さないのは悪手だと見ている。このままシーズンを終えれば大谷はFAとなり、他球団との争奪戦は必至。そこで資金力のあるメッツや、近未来にかけての戦力でエンゼルスを上回ること濃厚なドジャースらと争っても勝ち目は薄いからだ。大谷自身がエンゼルスにどうしても残りたいと思わない限り移籍は確実だろう。つまりエンゼルスはほとんど見返りがないまま大谷を失うことになる。

 そしてシーズン途中の刹那的な補強では今季のプレーオフ進出は果たせたとしても、来季以降の戦力を落として残留の魅力を削ぐ本末転倒な結果になりかねない。エンゼルスが今季のトレード期限で「買い手」に回るということは、逆に大谷との別れを加速させることを意味するのかもしれない。(文・杉山貴宏)

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