その他の先発投手では、現在は指を痛めて離脱中ながら復帰は近い左腕エデュアルド・ロドリゲス(タイガース)や、カージナルスで3勝7敗ながら防御率3点台後半のジョーダン・モンゴメリーなどが注目株。特にモンゴメリーは昨季途中にヤンキースから獲得した選手だけにカージナルス内での序列はあまり高くなく、今季が契約最終年であることからもトレードの対価は比較的安く済みそうな気配がある。

 リリーフ左腕で最注目はアロルディス・チャプマン(ロイヤルズ)。ヤンキースでクローザーの地位を失って今季はロイヤルズへ移籍したが、近年は衰えがちだった球速も戻って復活。100マイル(約161キロ)超えを連発し、今季は26試合を投げて防御率2.96と安定している。本人にクローザーへのこだわりがないならば、左腕不足のエンゼルス中継ぎ陣で救世主になり得る存在だ。

 打者に目を向けると、MLB公式サイトがエンゼルスもトレード先に含めた提言をしたことで注目度が上がった、昨季のナ・リーグMVPである強打者ポール・ゴールドシュミット一塁手(カージナルス)が一番の大物だろう。打撃も守備も現役屈指の一塁手であることに疑いはなく、獲得できれば攻守ともにエンゼルスの重要戦力となることは間違いない。

 とはいえ、ゴールドシュミットの契約は24年まで残っている。つまりカージナルスは今季をあきらめたとしても、ゴールドシュミットを残したまま補強プランを進めて来季に再び勝負をかける選択肢もあるということだ。そのため今季途中にゴールドシュミットを獲得しようという球団に対して妥協する必要がない。ゴールドシュミットの実績からも見返りは相当なものになることが予想され、その代価(特にカージナルスが欲しい投手の若手有望株たち)をエンゼルスが用意できるのかという問題が生じてくる。

 一塁を守れる大物スラッガーでは、元ナ・リーグMVPのコディ・ベリンジャー(カブス)もいる。長引く低迷でドジャースから放出されたが、カブスでは40試合の出場で打率.260、7本塁打、21打点、OPS.802とまずまずの成績を残している。本職は外野だが一塁も十分に守れる。来季は契約オプションのため獲得のハードルはゴールドシュミットほど高くはないのも魅力だ。

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エンゼルスは“持ち駒不足”か