ただしカブスはナ・リーグ中地区4位とはいえ、首位ブルワーズとは4ゲームしか離れていない。これからトレード期限までの結果次第では「買い手」に回る可能性もあり、そうなればベリンジャー放出もなくなるだろう。
もう少し獲得レベルを下げるならば、ここ2年連続で20本塁打以上を放っていたセス・ブラウン(アスレチックス)も狙い目。典型的な三振かホームランかタイプで信頼性には欠けるがパワーは証明済み。今季は一塁でも外野でも定位置争いに敗れて出場機会を減らしており、再建モードのアスレチックスが今年31歳の選手を残す理由も薄い。同地区ライバルではあるが、交渉の余地はありそうだ。
ドゥルーリーを一塁に固定するという前提で、二塁にキャバン・ビジオ(ブルージェイズ)を補強するという手もある。殿堂入り二塁手クレイグ・ビジオの息子で、ウラジーミル・ゲレロJr.やボー・ビシェットと共に2世トリオとして台頭したビジオはメジャー1年目に16本塁打・14盗塁と才能の片鱗を示したが、その後は他の2人ほど伸びず。定位置を失った上に球団内には新たなトッププロスペクトの存在もあり、完全な余剰戦力となっている。チーム浮上の起爆剤とまではいかないだろうが、手薄となった内野の補強としては元有望株の復活に賭けてみるのも案外悪くないかもしれない。
と、ここまでつらつらと書いては見たものの、トレードというのは「買い手」と「売り手」のニーズをどちらも満たして初めて成立するもの。熱心なMLBファンなら承知のように、現在のエンゼルスのマイナーには評価の高い有望株がほとんど存在しない。5月に更新された時点でのMLBパイプラインのトッププロスペクト100位以内にいるエンゼルスの選手はわずか2人、しかも1人はすでにメジャーデビューした(そして今季絶望となった)ローガン・オハピー捕手だ(もう1人も捕手のエドガー・クエロ)。この手薄な持ち駒で「売り手」の需要をどこまで満たせるかは大いに疑問が残る。