そしてもう一つ大きいのが他球団から獲得した選手の活躍だ。先発では現役ドラフトソフトバンクから加入した大竹耕太郎が5月の月間MVPを受賞。ここまで6勝0敗、防御率0.71と驚きの成績を残している。またリリーフではソフトバンクを自由契約となり、一昨年から加入した加治屋蓮も見事に復活。ここまで21試合に登板して1セーブ、6ホールド、防御率0.00と抜群の安定感を見せているのだ。

 大竹はコントロールと投球術はありながらも、スピード不足が懸念されて、なかなか一軍で登板機会を得ることができなかったが、セ・リーグではその緻密な投球が見事にはまった印象を受ける。また加治屋は故障もあり低迷していたものの、ボール自体の力は十分に残っており、コンディションが上がってきたことで成績を伸ばしてきた印象だ。ここまで戦力になっている投手をフリーエージェントやトレードではなく、現役ドラフトと自由契約から見いだせたというのはコストパフォーマンスの面でも非常にプラスと言えるだろう。

 このようにドラフト、他球団からの選手獲得が上手く機能していることは間違いないが、その根底にあるものは、投手の欠点よりも長所に目を向けているという点ではないだろうか。ここまで紹介した選手たちも、それぞれ強みはもちろんあるものの、アマチュア時代から欠点も目立っていたが、プロでは長所を伸ばして一軍の戦力になっている。

 またドラフトのところでは上位指名だったため触れなかったが、伊藤将司(2020年2位)も高校、大学、社会人とストレートの力不足がずっと懸念材料と言われていたが、コントロールの良さと試合を作る能力を高く評価して指名し、1年目から見事にローテーション投手となった。ホームランの出づらい甲子園を本拠地としていることもあるかもしれないが、何か武器になるものがあれば結果を残せるという事例を多く作ってきたことが今の投手王国に繋がっていると言えそうだ。

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投手陣の活躍が優勝のカギに