昨年限りで西武の監督を退任した辻氏は名将と呼んでよいだろう。在籍6年間で5度のAクラス進出し、18、19年にリーグ連覇を飾っている。18年オフには浅村、炭谷、菊池雄星(現ブルージェイズ)が退団したにもかかわらず、破壊力抜群の打線で19年も頂点に立った価値は大きい。山川穂高、源田壮亮、外崎修汰ら現在の主力選手たちを一本立ちさせ、勝負所での采配も光った。パ・リーグの野球を熟知していることも大きな強みだ。

 他には野球評論家の宮本慎也氏、広島で16年から球団史上初のリーグ3連覇を飾った緒方孝市氏、ロッテの井口資仁前監督も有力候補か。一方、楽天ファンから監督復帰待望論が強いのが、西武の平石洋介ヘッドコーチだ。PL学園、同志社大、トヨタ自動車を経て、楽天にドラフト7巡目で入団して7年間プレーし、コーチを歴任。18年のシーズン途中に当時の梨田昌孝監督が辞任し、監督代行に。翌19年に楽天生え抜きとして初の監督に就任して3位と期待を抱かせる戦いぶりだったが、球団フロントは続投という判断を下さなかった。同年オフに新設される「二軍統括」のポストを打診し、平石氏は退団。指導者としての手腕を評価され、ソフトバンク、西武を渡り歩いている。

 楽天の熱烈なファンという仙台市内在住の男性(40)は、「平石さんが残念な形で退団し、納得していないファンは多い。コーチとして経験を積んで指導の引き出しも増えていると思うので、できればもう一度監督として楽天に戻ってきてほしい。やっぱり生え抜きの監督にやってもらいたいですよ」と言葉に力を込める。

 平石氏はPL学園の先輩・松井稼頭央監督の信頼が厚く、今年からヘッドコーチに就任。松井監督が指揮を振るっている間に、楽天に戻ることは考えづらいが、楽天ファンから現在も根強い人気を誇ることは間違いない。

 まだシーズン序盤で、楽天が息を吹き返す可能性も十分にある。石井監督の下で巻き返し、13年以来10年ぶりの覇権奪回に近づける位置までチーム力を高められるか。下馬評が高いとは言えないが、意地をみせてほしい。

 (今川秀悟)

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