一方のパ・リーグの打者では和田恋(楽天)が挙げられる。巨人時代の2018年には当時ルーキーだった村上宗隆ヤクルト)と清宮幸太郎(日本ハム)を1本上回る18本塁打を放ち、イースタン・リーグでホームラン王を獲得。翌年のシーズン途中に交換トレードで楽天に移籍しているが、それ以降の4年間でも二軍で3度二桁ホームランを放ち(2019年は巨人で6本、楽天で4本の合計10本)、今年もここまでチームトップとなる4本塁打を放っている。

 過去3年間は2割5分前後だった打率も今年は3割近くまで上昇しており、確実性が向上しているのもプラス材料だ。チームは主砲の浅村栄斗、新外国人のフランコと得点源として期待されていた右打者が揃って打率1割台と苦しんでおり、加えて他の中心打者は左打者が多いだけに、パンチ力のある右打者である和田を一軍で試してみても良いのではないだろうか。

 もう1人、二軍の帝王からの脱却が期待されて久しいのがリチャード(ソフトバンク)だ。育成ドラフト出身ながら持ち味である長打力を伸ばして3年目の2020年に支配下登録を勝ち取ると、その年から3年連続でウエスタン・リーグのホームラン王を獲得。昨年記録した29本塁打はウエスタン・リーグの歴代最多記録である。しかし一軍では2021年に7本塁打を放ってブレイクを予感させたものの、昨年は3本塁打と成績を落とし、今年もここまでは主に二軍でのプレーが続いている。近年のソフトバンクは巨人、楽天以上に他球団からの大型補強、さらには四軍制を導入するなどチーム内のライバルは増える一方だけに、そろそろ一軍での地位を確立したいところだ。

 ここまでは今年も二軍暮らしが続いている選手をピックアップしたが、二軍の帝王からようやく脱しつつある選手も存在している。それが昨年オフに現役ドラフトで移籍した細川成也(中日)だ。2016年のドラフト5位でDeNAに入団すると、二軍では6年間で5度の二桁ホームランを放ち、2020年にはイースタン・リーグのホームラン王を獲得している。

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“二軍の帝王”脱出には移籍も効果的?