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 日本最古の総合週刊誌「週刊朝日」が5月30日発売の「休刊特別増大号(2023年6月9日号)」をもって休刊する。今号は101年の歴史の集大成とあって、吉永小百合さんや池澤夏樹さん、東山紀之さんら100人を超す著名人が、本誌に対する思いを寄せた。さらに、村上春樹さんが特別インタビューに応じ、音楽や若者へのメッセージを語った。表紙は”演出写真”の第一人者、浅田政志さんが撮影。「在りし日の編集部」をテーマに、締め切りに追われる編集部の”日常”を切り取った。

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 休刊特別増大号の「顔」となる表紙には、編集部員や雑誌づくりに携わるスタッフら総勢33人が登場。「昭和の『週刊朝日』編集部」のイメージを伝えるため、浅田さんが一人一人に熱の入った”演技指導”をした。浅田さんは、自らの家族を被写体にした写真集「浅田家」で「写真界の芥川賞」といわれる「第34回木村伊兵衛写真賞」を受賞。映画「浅田家!」(2020年)のモデルにもなった。

 今号は通常より90ページ以上増やし、表紙撮影の裏側をはじめ、永久保存版とすべく、多くの特集を詰め込んだ。

 巻頭グラビアは、宮崎美子さんらあまたのスターを生み出した「女子大生表紙」のプレーバック。篠山紀信さんが活写した真野あずささんや大塚寧々さんたちの初々しい姿が、カラー誌面で蘇る。

 週刊朝日で小説やコラムを連載した著名人も数知れない。池澤夏樹さんや浅田次郎さんら人気作家のほか、東山紀之さんや堀江貴文さんも誌面で筆を振るっていた。大特集「週刊朝日とわたし」では、本誌ゆかりの著名人ら100人超がメッセージを寄せた。

「迷惑な作者でした。それでも描きたいものを描かせてくれた」(西原理恵子さん)、「週刊誌の連載対談の最短記録かも」(俵万智さん)といった自身の思い出から、「ナンシー関を超えるコラムニストはいまだに現れていない」(梯久美子さん)、「山藤章二画伯の一枚画の完成度に見惚れた」(やくみつるさん)など、名物連載について印象を語る人も。「土俵際で耐えに耐えたけれど、うっちゃる力がなかった」(内館牧子さん)という厳しい意見や、休刊をめぐる状況を鑑みて「ウ~ン、ジレンマ!」(イッセー尾形さん)とうめく声など、忌憚のないコメントも多く寄せられた。

 連載といえば、村上春樹さんが身辺雑記を赤裸々に綴った「村上朝日堂」(1985~86年、95~96年)は当時の読者に絶大な人気を誇っていた。そんな村上さんが休刊にあたり、本誌で「RADIO PAPA」を連載中のラジオプロデューサー、延江浩さんのインタビューに応じた。学生時代に味わった東京の刺激、放送50回を迎えた「村上RADIO」の裏話、若者に伝えたい「生の音楽」の魅力など、村上さんが感じていることを存分に語った。

 林真理子さんの対談連載「マリコのゲストコレクション」は、阿川佐和子さんが登場。岡本太郎や大宅壮一、松下幸之助といった名だたる人物をただ跳びはねさせて撮影するという伝説の企画「ジャンプ」を振り返る記事や、開高健の名物ルポをオマージュした「ずばり東京2023」、週刊朝日と週刊誌の100年をたどる特別企画、井上荒野さんの特別読切小説「日傘をたたんだ日」など、読みどころ満載の企画を掲載している。

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「週刊朝日」1922年2月創刊。まずは5日、15日、25日に発行する「旬刊朝日」としてスタートし、同年4月2日号から毎週発行する現在の形になった。本誌の増刊として発行する「甲子園」「サザエさん」などを含め、通巻5843号発行した。