
全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA 2023年3月27日号にはバッファロースーパーオートバックス・環七王子神谷 総ピット長の川端丈夫さんが登場した。
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店に足を運んでくれたお客さまに少しでも喜んでもらいたい──。
その思いやりと接客態度が多くのユーザーに支持され、ごく少数にのみ与えられる称号、エクセレントスタッフに認定された。全国に600店舗ほどあるオートバックスグループで働く約1万5千人のトップ7だ。
主に車検を担当する。「点検、修理は完璧にして当たり前ですが、お客さまに当店を選んでよかったと思ってもらえる心遣いを大切にしています」。利用者のアンケートでは、感謝されることも珍しくない。
車検や修理で車を持ちこんだ利用者の対応は、見積もりから会計までできる限り1人で受け持つ。途中でスタッフが代わると、責任の所在が不明になったり、説明の仕方が変わったりして、利用者に不安な思いをさせるかもしれないからだ。
どんな時も笑顔を欠かさない。「作業中もなるべく笑顔を心がけています。忙しい時ほど笑顔でやらないと、ギスギスした雰囲気はお客さまに伝わってしまいます。何より職場が楽しいと、スタッフみんなのモチベーションが上がりますよね」
技術者としての評価も高く、点検・整備部門にあたるピットサービスのリーダーでもある。腕には自信があるが、電気自動車や先進安全自動車といった次世代車の依頼も増え、さらなる知識と技術の習得が求められる。誰よりも早く出勤し、朝のひとときを勉強時間に充てる努力家だ。
最近は、衝突回避や追突防止システムを搭載した車も多い。カメラやセンサーが付いたガラスやバンパーを修理などで交換した際には、電子制御装置が正しく作動するかを確認し、ミリ単位で調整する必要がある。
「新しい装置が増えて大変ですが、技術者にとって腕の見せどころでもあります。安全走行機能を搭載した車は今後さらに普及するため、整備士に求められるレベルも上がっていくでしょう」
所属する店舗は車検の受注台数や利用者の満足度など総合的なピットサービス評価で、3年連続でオートバックスグループの最優秀店舗に選ばれている。「ネットで何でも買える時代にリアルな店舗に来てもらうには、接客と技術のレベルを常に上げていくことが大切だと考えています」
(ライター・浴野朝香)
※AERA 2023年3月27日号