■ミート能力と選球眼
日本は国際舞台で犠打などの小技と機動力を絡めた「スモールベースボール」で戦うイメージが強いが、卓越したミート能力と選球眼の良さに定評がある近藤が2番に入ることでチャンスが広がり、ビッグイニングにつなげている。1次リーグ4試合で15打数7安打、打率4割6分7厘。出塁率はヌートバーを超える6割と驚異的な数字だ。韓国戦ではアーチを放つなどツボにハマれば一発もある。相手バッテリーからすれば、これほど神経を使う打者はいないだろう。
侍ジャパンを取材するスポーツ紙記者は、村上宗隆(ヤクルト、23)をキーマンに挙げる。1次リーグは全4試合で4番に座り、14打数2安打、打率1割4分3厘と打撃の状態が上がらなかったが、準々決勝のイタリア戦は「5番・三塁」でスタメン出場し、五回に今大会初の長打となる左中間適時二塁打。七回にも左翼のグラブをはじく二塁打でマルチ安打と復調の兆しを見せている。
このスポーツ紙記者はこう期待を込める。
「大谷に対しての警戒が強まり、相手バッテリーがまともに勝負しないケースが出てくるでしょう。後を打つ打者が大事になってくる。村上は4、5番とどの打順でも不思議とチャンスに打席が回ってくる。大舞台での強さを発揮してほしい」
準決勝のメキシコ戦は日本時間3月21日午前8時から。勝利したら3大会ぶりの頂点が見えてくる。ラストスパートは文字どおり、総力戦で戦う。(ライター・今川秀悟)
※AERA 2023年3月27日号より抜粋