スマートフォンを見るときに前かがみや猫背になると、頭の重みを首だけで支えなくてはならなくなり、骨や筋肉がいたみやすくなる(撮影/写真映像部・上田泰世)
スマートフォンを見るときに前かがみや猫背になると、頭の重みを首だけで支えなくてはならなくなり、骨や筋肉がいたみやすくなる(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 デスクワーク中心の人の悩みといえば、首・肩こりと腰の痛み。姿勢や座り方を見直し、簡単な運動を取り入れることから始めよう。AERA 2023年3月13日号より紹介する。

【図】首・腰に効くツボはこちら

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「不動が、首・肩こりや腰痛の原因のナンバーワン」

 こう言うのは、昭和大学医学部整形外科学講座・スポーツ運動科学研究所客員教授の平泉裕さん。不動、すなわち動かぬこと。テープの総合メーカー「ニチバン」が20~60代の男女500人を対象にした調査では、70.6%が「コロナ禍でPC・スマホの利用が増えた」、53%が「日常的に運動する機会は減った」と回答。

「パソコン作業などで同じ姿勢をとり続けていると、頭の重量に首の筋肉が耐えられなくなり、こりや痛みが生じる。その影響は肩や背中、腰にまで及びます。なお、『肩こり』という言葉が一般的ですが、正確には『首こり』です」(平泉さん)

 頭の重さは、成人で体重の10%ほどと言われている。体重50キロの人なら約5キロ。同調査では、コロナ前と比べて増えた不調として、肩こり、疲れ・だるさ、腰痛、首の痛みなどが挙がったが、同じ姿勢のままボウリングボールと同等の重さを首で支え続けていると考えれば、むべなるかな。

AERA 2023年3月13日号より
AERA 2023年3月13日号より

■タオルで首こり対策

「大前提として、筋疲労を起こしにくい姿勢を日頃から心掛けること」(同)

 顎を引き、壁に後頭部、お尻、かかとがつく姿勢だ。へそから1センチほど下を指で軽く押すと、腹筋に力が入って背筋がピンと伸び、良い姿勢をとりやすい。座っている時もこの姿勢を意識する。

 首こり対策としては、次の体操がお勧め。

(1)タオルがピンと張るように両手で持ち、息を吸いながらゆっくりと頭上に持ち上げる。タオルを持つ幅が狭いほど、筋肉がほぐれやすい。

(2)息を吐きながら、タオルが体の後ろを通るように両肘を下げていく。首は垂直にし、胸を大きく開き、両側の肩甲骨が中央に寄るのを意識する。

(3)息を吸いながら(1)の姿勢に戻る。ゆっくりと背中を前に倒し、両側の肩甲骨が広がり背中が伸びるのを意識する。

「タオルを持つとコツをつかみやすいですが、なくても十分に効果があります」(同)

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