ニューヨークで再会したYouTubeバンドの常連メンバーとセッション(廣津留さん提供)
ニューヨークで再会したYouTubeバンドの常連メンバーとセッション(廣津留さん提供)

 「友人がYouTubeでやっているバンド『JHMJams』に参加したことが、私の音楽活動で転機の一つになっているかもしれません。

 バンドといってもメンバーが決まっているわけではなく、そのとき時間があいているミュージシャンが集まって、リビングで気楽にセッションして、YouTubeにアップするというもの。参加していたのはチェリスト、パーカッショニストなどさまざまで、自分の専門外の楽器も弾けたり、歌が上手かったりと、ジュリアードの同窓生やNYローカルの音楽家など多才な人が集まっていました。

 主な演奏曲はポップスカバー。メロディー担当やベース担当などその場で役割を決めて、音源を数回聴いていわゆる“耳コピ”で即興演奏します。楽譜通りに演奏するのが当たり前だったクラシック畑の私にとっては、頭の中だけで構成して演奏する過程がすごく勉強になりました。

“音楽脳”をフル回転させてクリエイティブな演奏をしなければいけませんし、耳も鍛えられました。『あの人がこう弾くから、私はこう弾こう』と、その場の雰囲気にあわせて演奏を変えていくのは、ヨーヨー・マさんのスタイルと共通する部分があると思います。音楽はチームワークだということをこのグループであらためて感じました。

 日本と比較すると、アメリカのお客さんは反応がダイレクトです。YouTubeでやっていた即興演奏のように遊び心を加えるとものすごく盛り上がってくれますし、新しい曲が好きな人が多い。それもあって、ニューヨークで暮らすようになってから現代音楽や、今活躍している作曲家の音楽を弾くようにもなりました。

 最近は日本での音楽活動でも、有り難いことにJ-popや演歌など様々なジャンルのアーティストの方とご一緒する機会をいただくようになり、様々なコラボを心から楽しんでいます。でも、プライベートで聴く音楽の好みは昔から変わっていません。クラシックを聴くと仕事モードになって気が休まらないので、ふだんは大好きなaikoさんをよく聴いていますよ」

(構成/奧田高大)

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