例年よりグッと早い梅雨明けで、すでに酷暑を体験した2022年の日本列島。その後、多少涼しい日が続いたとはいえ、ぐったりしている人も多いのではないか。でも、夏本番はこれから。6月22日にウェザーニュースが発表した「2022年7~9月の気温傾向」では、日本地図全体が「平年より高い」を示す赤で塗られている。やはりこれから数カ月間は、暑さとの戦いが続くことになる。
こうなると欲しくなるのが、冷たいデザート。食欲のないときもつるんと喉を通ってくれるゼリーやプリン、寒天は、水とゼラチン、水と寒天の「黄金比」さえ覚えてしまえば、失敗することなく狙った食感に仕上げることができる。
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教えてくれるのは、書籍や雑誌、広告などの料理制作やスタイリングを手掛け、洋菓子店勤務の経験もある福岡直子さん。板ゼラチンや棒寒天より、粉ゼラチンや粉寒天を使うほうが、「黄金比」を再現しやすいという。
そもそも福岡さん、ゼラチンと寒天ってどう違うんですか?
「ゼラチンは、牛や豚の骨、皮から抽出された動物性タンパク質のコラーゲンから作られたものです。一方の寒天は、テングサやオゴノリなどの海藻が原材料。ゼラチンよりも凝固力が強く、常温でも溶けないのが特徴です」
なるほど。まずは、ゼリーやプリン、ババロアなど、洋風のデザートに使うゼラチンを好みのかたさに仕上げるための「黄金比」から。福岡さんは、ゼラチンデザートのかたさを「ぷるん」「ぷるるん」「ふるふる」の3段階で表現する。
「『ぷるん』は、一般的なゼリーのかたさ。型抜きしたり、切り分けたりしても、形を保つことができます。『ぷるるん』は、型抜きしても形をキープすることはできるものの、『ぷるん』に比べて水分を感じられる、やわらかめの仕上がり。『ふるふる』は弾力がないジュレ状のかたさで、クラッシュゼリーのような崩していただくタイプのデザートに向いています」
まず用意するのは粉ゼラチン5グラムを50ミリリットルの水でふやかしたもの。粉ゼラチンは器に入れた水の中に少しずつ、1カ所に固まらないようにふりいれ、よくかき混ぜる。これに、水やジュース、コーヒー、牛乳などの水分を加えてふやかしたゼラチンを煮溶かしデザートを作っていくのだが、食感を左右するのはもちろん、その水分量。250ミリリットルなら「ぷるん」に、300ミリリットルなら「ぷるるん」に、350ミリリットルなら「ふるふる」に仕上がる。
50ミリリットル刻みの配合は、福岡さんオリジナル。これを覚えることで、型抜きしたら崩れてしまった……などの失敗とはサヨナラだ。