※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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女性のおよそ4人に1人がかかるといわれる子宮筋腫。無症状のことも多いが、筋腫ができる場所によっては月経が重くなるなどの症状がみられる。筋腫の種類と起こりやすい症状、受診の目安などについて専門医に聞いた。

【データ】子宮筋腫の症状は?治療法は?

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 子宮筋腫とは、子宮の筋肉(平滑筋)にできる良性の腫瘍をいう。筋腫ができる原因はわかっていないが、近年では遺伝子変異による可能性も報告されている。また、筋腫は女性ホルモンの一種であるエストロゲンの影響を受けて大きくなる。そのため、女性ホルモンの分泌がさかんな20~40代の人に多く、40代では3~4人に1人が筋腫をもっているといわれる。

 東京女子医科大学病院産婦人科主任教授の田畑務医師は「家族歴があると筋腫ができる可能性がやや高まる」と話す。

「ある医学誌によれば、母親に子宮筋腫があると娘に筋腫ができる確率が約2倍に高まるという報告があります。ただ、もともと多くの人にみられる病気ですので、それが遺伝のせいかどうか、はっきりとはわからないでしょう」

「筋腫があるだけで心配することはない」と話すのは、大阪大学病院産科婦人科教授の木村正医師。

「筋腫のせいで何らかの症状が起こり、身体的、あるいは生活上困ることがある場合に受診や治療を考えればいいでしょう」

■月経の症状がつらいなら受診を

 子宮は、下腹部の骨盤内にある逆三角のような形をした袋状の器官で、子宮の壁は内側から「子宮内膜」「子宮筋層」「漿膜」という3層からなる。そのうちのどの部分で発育するかにより、子宮筋腫は三つのタイプに大別され、それぞれで特徴や症状が異なる。

 子宮の外側を覆う漿膜直下にできる「漿膜下筋腫」は、症状が起こりにくい。ただし、筋腫が大きくなると周囲の臓器を圧迫して頻尿や下腹部痛などの症状が起こることがあり、筋腫の根元に茎がある場合は、まれにその茎がねじれて痛みが起こることも。

 筋層にできる「筋層内筋腫」は、最も多いタイプで子宮筋腫の約7割を占める。筋腫が複数できることが多く、小さいうちは症状がないが、筋腫が大きくなったり、筋層でも子宮の内側に近い部分に筋腫ができたりすると、月経量が多くなる(過多月経)などの症状が起こることがある。

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「粘膜下筋腫」は月経にまつわる症状が起こりやすい