子宮の内側を覆う粘膜(子宮内膜)直下にできる「粘膜下筋腫」は、子宮筋腫のうちの約1割と割合は少ないものの、子宮内膜直下に筋腫があることで、過多月経、月経が長引く(過長月経)など、月経にまつわる症状が起こりやすい。
「子宮筋腫のなかでも、子宮の内側にできて子宮内腔を変形させる、つまり子宮の逆三角の形をゆがめるような筋腫ほど、一般的には症状が強くみられます。粘膜下筋腫は2センチほどの小さなものでもひどい過多月経になりますが、漿膜下筋腫は10センチほどの大きさになっても症状がほとんどないこともあります」(木村医師)
田畑医師は、「大きくなった筋腫を手術で摘出したら重さが6キログラム以上だったこともありました」と話す。それほど大きくなっても症状がなく、患者は「ただ太っただけだと思っていた」という。
このように、子宮筋腫があっても症状がなく、健康診断などで偶然発見されることも多い。子宮筋腫と診断された女性の受診理由では、「月経量が多い」「月経が長い」などが訴えの中心だが、それが子宮筋腫のせいとは気づいていない人も多いと両医師はいう。
目安として、「レバーのような血の塊が出る」「1~3時間ごとに一度ナプキンを替える必要がある」「夜間もナプキンを替えなければならない」「月経痛がひどい」などの症状がある場合、受診がすすめられる。子宮筋腫がなくても月経困難症や子宮内膜症など、ほかの病気がある可能性も考えられるからだ。また、月経量が増えることで貧血になる人も多い。
「子宮筋腫に限らず、月経の悩みをもつ人はたくさんいます。月経に関する治療は進歩しており、今は良い薬もたくさんあります。適切な治療をすることで非常に楽になりますので、がまんせず早めに相談していただきたいですね」(田畑医師)
■悪性腫瘍との見分けも重要
子宮筋腫は女性ホルモンの影響を受けて成長するため、閉経後は筋腫がそれ以上大きくなることはない。閉経後に大きくなる場合は、ほかの病気の可能性があるため早期の受診が必要だ。また、良性の腫瘍である子宮筋腫が悪性腫瘍に移行することは、ほとんどないとされている。