そんな世界の強豪相手に、日本代表は両試合とも前半は第1テスト(7月2日)が13―13、第2テスト(7月9日)は15―7と互角、あるいは、それ以上の戦いをみせた。第1テストは後半に崩れて23―42と差をつけられたが、第2テストは15―20の惜敗。後半35分にラインアウトからテビタ・タタフ(東京サンゴリアス)が持ち込み同点、ゴールが決まれば逆転かと思われたが、直前にボールをこぼしており、幻のトライとなって新たな歴史を作ることはできなかった。
しかし、ワールドカップ初優勝を目指すチームを最後まで苦しめたことは強化の方向性が間違っていないことを示し、選手たちの大きな自信となったはずだ。第2テストの前半にFB山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)が奪った2トライは、ともに仕掛けてゲインラインを突破した後にパスをつないで相手防御を崩して奪った見事な内容。欧州勢の中でもフィジカルの強い相手に対して攻撃の重要な起点となるスクラムも安定しており、日本代表の地力が確実に上がっていることを示した。
山中やリーチマイケル(東芝ブレイブルーパス東京)らベテランがプレーでチームを引っ張り、チャンスを貰った若手の躍進も目立った夏のテストマッチシーズンとなった。一方、今回はコンディション重視で出場できなかった主力選手の存在の大きさも改めて感じた。
ボールを持った時の推進力に加えて守りでもボールに絡んで相手の攻撃の芽を摘む術に長けた姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)が復帰すれば、世界トップクラスのフランス代表相手に互角にわたりあったFWのさらなるレベルアップが期待できる。福岡堅樹(元パナソニックワイルドナイツ)の引退でスピードスターを欠くバック3(両WTBとFB)に松島幸太朗(東京サンゴリアス)の決定力は欠かせない。中村亮土(東京サンゴリアス)がいれば、司令塔も含めて従来と大きく構成が変わったバックラインをより落ち着かせられたはずだ。