子宮筋腫は女性ホルモンの一種であるエストロゲンの影響を受けて大きくなる。そのため、女性ホルモンの分泌がさかんな20~40代の人に多く、40代では3~4人に1人が筋腫をもっているといわれる。子宮筋腫の治療にはいくつかの方法があり、それぞれにメリット、デメリットがある。自らのライフスタイルに合う最善の治療法を選択するためには、患者自身がまず治療法について理解し、選択肢を知ることが求められる。
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子宮筋腫があっても、すべての人に治療が必要とは限らず、筋腫が小さい場合や症状がない場合、治療は不要だ。筋腫の成長する速さはさまざまで、数年経っても大きさはほとんど変わらないこともある。ただ、大きさと症状は比例しないこともあり、大阪大学病院産科婦人科教授の木村正医師はこう話す。
「子宮の内側にできる粘膜下筋腫は、小さくても過多月経などの症状を起こします。そのような場合は筋腫の大きさに関わらず治療を検討しますし、症状がなければ経過を観察し、筋腫が大きくなったり、症状が表れたりしたら治療を考えればいいでしょう」
子宮筋腫の治療は、「薬物療法」と「手術」に大別される。
薬物療法には、薬により筋腫を縮小させる「偽閉経療法」と、筋腫による症状をやわらげるためにおこなう治療(対症療法)がある。偽閉経療法とはその名のとおり、からだを閉経した状態にする治療だ。子宮筋腫は女性ホルモン(エストロゲン)により成長するため、GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アナログ製剤という薬を投与してエストロゲンの産生を抑え、筋腫を縮小させる。
治療中は月経が止まるため症状は改善するが、骨がもろくなるリスクがあるため6カ月までしか継続できず、治療をやめると筋腫は元の大きさに戻ってしまう。そのため、この治療は長く続けるものではなく、手術前に筋腫を小さくし、切除しやすくすることを目的としておこなうほか、閉経間近な人が、それまでの期間を乗り切るための「逃げ込み療法」としておこなうものといえる。