子宮筋腫データ
子宮筋腫データ

■筋腫だけを切除もしくは子宮全摘

 対症療法には、過多月経や月経痛などに対する低用量ピルや鎮痛剤、貧血に対する鉄剤の服用のほか、過多月経を改善するために、黄体ホルモンを少しずつ放出する装置を子宮内に挿入する「子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)」や、マイクロ波を照射して子宮内膜を壊死させる「マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)」という治療法もある。

 子宮筋腫の手術には、筋腫だけを切除する「子宮筋腫核出術」と、子宮を全て摘出する「子宮全摘術」がある。

 子宮筋腫核出術は子宮を残せるため、妊娠を希望する人、妊娠の可能性がある年齢の人におこなうことが多い。ただし、手術時の出血量が多くなることや、再発の可能性がある。

 子宮全摘術は、子宮全体を摘出することで症状や再発の可能性はなくなるが、妊娠はできなくなるため、何らかの理由で核出術ができない場合や、ほかの治療で症状が改善しない場合などに検討される。板橋中央総合病院産婦人科主任部長の石田友彦医師は、こう話す。

「粘膜や筋層の奥にある小さな芽のような筋腫まで見つけることは難しく、完全に再発をなくすためには全摘術しかありません。一方で、患者さんがそのときに『妊娠の予定はない』と思っていても、長い人生何があるかわかりませんので、当院では、妊娠の可能性がある、少なくとも40代前半ぐらいまでの人には、全摘術は慎重に検討します」

 手術には、「開腹手術」「腹腔鏡下手術」など、いくつかの術式がある。開腹手術では一般的に、下腹部を横に10~15センチほど切開するが、筋腫が大きい場合にはへその下から縦に切開することも。開腹すると視野が十分にとれるため確実・安全な手術ができること、多くの医療機関でおこなわれていることがメリットといえる。一方で、術後の入院期間が長くなる、おなかに傷痕が残るなどのデメリットがある。

■子宮動脈の血流を止める治療法も

 腹腔鏡下手術は、おなかに3~4カ所ほど穴をあけ、器具を挿入してモニターで確認しながらおこなう方法。傷痕が小さく術後の痛みが少ない、入院期間が短いなどのメリットがあるが、視野がとりにくく難度の高い手術となり、受けられる医療機関は限られる。また、筋腫が大きい場合や数が多い場合は難しいこともあり、子宮の内側にできる粘膜下筋腫ではおこなえない。

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術式の選択はメリット、デメリットをよく理解