もう1人先発候補となるのが5年目の田中瑛斗だ。昨年オフには育成契約となったが、7月には支配下復帰を果たすと、7日のロッテ戦ではプロ初勝利をマーク。故障を経験して体作りが進んだことで腕の振りもボールも力強くなった。エースの上沢直之が骨折による長期離脱となっただけに、その穴を埋める存在として期待したい。投手でもう1人面白い存在になりそうなのがドラフト5位ルーキーの畔柳亨丞だ。二軍ではここまでリリーフとして8試合、8イニングに登板して防御率は2.25、12奪三振と見事な成績を残している。ストレートはコンスタントに150キロに迫り、コントロールも安定している。高卒1年目だけに無理使いは禁物だが、高校時代からたくましい体格で体作りが進んでいる印象があっただけに、早くから一軍に抜擢するのも面白いだろう。

 日本ハムの野手で1人挙げたいのが五十幡亮汰だ。4月に椎間板ヘルニアの手術を受けて長期離脱となっているが、リハビリが順調であれば後半戦には戦列に戻れる可能性は高い。前述したように強打者タイプの若手は台頭しているだけに、ここに抜群のスピードと守備力のある五十幡が加われば、野手陣の将来は一気に明るくなるだろう。

 かつて星野仙一監督時代の中日は優勝争いから脱落すると、積極的に若手の抜擢と血の入れ替えを行い、長期低迷を防いでいた印象が強い。今年の中日、日本ハムともに後半戦にはそのような思い切ったやり方でチームを作り替えることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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