新型コロナウイルスで主力が大量離脱したヤクルト。8日の阪神戦から今季ワーストの6連敗を喫したが、慌てる必要はないだろう。
2位以下に10ゲーム差以上をつけて、4月下旬に米国で左半月板のクリーニング出術を受けたサンタナも戻ってきた。復帰2戦目となった18日の巨人戦で菅野智之から2本のアーチを放つなど春先の好調を維持。コロナに感染した山田哲人、塩見泰隆、青木宣親が1軍に合流するなど戦力は整いつつある。高津監督も20日の同戦から指揮をふるい、4番・村上宗隆が7回に32号右中間3ランを放つなど4打点の活躍で8―2と快勝。4カード振りのカード勝ち越しを決めた。
コロナの集団感染で首位を独走していた勢いは一時鈍ったが、マイナス面ばかりではない。この緊急事態で1軍昇格してきた選手たちがアピールしている。39歳のベテラン・内川聖一は卓越した打撃技術で健在ぶりを示し、高卒3年目の武岡龍世も存在感を発揮している。19日の巨人戦で猛打賞3打点、二塁の守備でも美技でピンチを救い、連敗ストップの立役者になった。
他球団の首脳陣が「この選手の俊足は衝撃」と驚いた選手も。大卒2年目の並木秀尊だ。今月12日に昇格すると、翌13日の中日戦から「1番・中堅」で3試合連続スタメン出場。その後は途中出場が続いている。打率.200、0本塁打、0打点と目立った成績を残していないが、どの点が衝撃を与えたのだろうか。
「噂には聞いていたが、右打者であれだけ俊足の選手はなかなかいない。若い時の荻野貴司(ロッテ)を彷彿とさせる。足の速さは球界でトップクラスでしょう。外野は塩見、青木、サンタナ、山崎晃太朗、坂口智隆とそろっているのでなかなか1軍で出場機会はないが、並木の足は勝負所の代走で十分に使える。CSの短期決戦で秘密兵器になるんじゃないか」
並木は首都大学リーグ2部の獨協大から20年ドラフト5位で入団。同大で初のプロ野球選手だった。一塁に近い左打者ではなく、右打者で俊足を生かして内野安打が多い。打撃が課題だったが、今季はイースタンでリーグトップの打率.293をマーク。18盗塁はリーグトップだ。