帰宅後は課題や研究、仕事の準備で夜遅くまでかかるが、24時前には寝るようにしている。無理をして資料を読んでも頭に入って来ないし、翌日の仕事に支障があってはいけないからだ。休日も調べ物で図書館などに出かけることが多い。ペットのとたわむれるのが少ない癒しのひとときだ。

「大学のときは親に学費を出してもらって、なんて幸せだったのだろうと思います。今も家族には好きなことをさせてもらって感謝しています。学びたいときがチャンスだと思います。論文指導の野口朋隆先生にいただいた、学びに年齢は関係ないという言葉は心の支えになっています」(同)

 昭和女子大学は女子大学だが、大学院は男女共学だ。21年4月、社会人が1年でも修了できる大学院を立ち上げた。50人が在籍し、うち35人が翌22年3月に修士号を取得した。生活機構研究科福祉社会研究専攻の粕谷美砂子教授は「みなさん本当に熱心で、1年間で充実した論文をまとめられました」と振り返る。

 福祉社会研究専攻には2つのコースが設置されており、福祉共創マネジメントコースは社会福祉法人や病院、保育園の経営者や職員、スクールソーシャルワーカー、介護支援専門員や自治体勤務といった人たちが受講する。もう一つの消費者志向経営コースは消費生活アドバイザー、メーカー、消費生活センター、起業家支援と職種は多様だ。それぞれが現場で感じた問題をテーマに研究している。授業では興味深い話が次々に出てくる。

「私も生の声を聞いて、何が現場で今問題になっているかということと、理論が実際にどう使えるかを知ることができます。学生からは課題を整理して論理的に検討することで解決法が見え、仕事に生きてくると言われます」(粕谷教授)

 22年4月には、新たに2つの1年制の大学院修士課程が開設された。文学研究科言語教育コミュニケーション専攻の英語教育専修コースと、山下さんが学ぶ生活機構研究科生活文化研究専攻のアーキビスト養成プログラムだ。山下さんの論文を指導する野口朋隆准教授は日本近世史が専門で、アーカイブス学とも研究分野が重なる。

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