元陸上自衛官の五ノ井里奈さん(22)が、昨年の訓練中に複数の男性隊員から性被害を受けたことを告白したことが「#MeToo」に発展しそうだ。五ノ井さんが公正な調査を求めて署名活動を開始したところ、6万人以上の賛同者が集まった(7月29日時点)。編集部にも、実名・顔出しで告発した五ノ井さんの姿をみた女性自衛官たちから「負けるな」「一人じゃない」と多くのエールが届いた。AERA dot.は現役も含めた女性自衛官4人に取材。これまで胸に秘めていた、自衛隊内で受けたセクハラの実態を明かしてくれた。
【写真】実名・顔出しで陸上自衛隊で受けた性被害を告発した五ノ井里奈さん
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「五ノ井さんの事件はあれだけ世間で話題になったのに、自衛隊内では“黙殺”のような状態です。同じ年代の女性として、とても悔しいです。実際、私も山で訓練していた時の宴会で、男性隊員から接待を求められました。男性隊員はかなりお酒が入っているので、みんな笑って『アウト!』とか言いながらセクハラを楽しんでいます。ここはそういうお店じゃなくて、自衛隊です。『触るなら金を払って、そういうお店に行け』といつも思っています」
こう憤るのは、現役陸上自衛官のAさんだ。現役であることから入隊年や配置部隊は明かせないが、五ノ井さんの告発に勇気をもらったとして、取材に応じてくれた。
これまでAさんも部隊の中で多くのセクハラに悩まされてきたという。訓練を名目に防弾チョッキ越しに胸を触ってくる、Tシャツの背中に描かれたプリントを読むふりをしてブラひもを指でなぞってくる、廊下ですれ違う度に抱きつくそぶりをする……男性隊員から数えきれないくらいのセクハラを受けてきた。
ツイッターのDMで「今日、売店でシュークリームを買っていたね」や「荷物いっぱい持って大変そうだったね、助けたかったよ」「今日もかわいかったね」など、ストーキング行為のような匿名メッセージを送られたこともある。
「駐屯地の売店なので、内部にいる人であることは間違いありません。誰かわからないので怖いです。相手はいわゆる“捨てアカ”で、私にDMを送るためだけにアカウントを作ったようにみえます。今のところ無視していますが、本当に気持ち悪いです」(同)