Aさんは、昨年まではセクハラを受ける度に上官に相談していた。だが、上官からは「やめてって言えばいい」「あと少しの間だから我慢しろ」などと言われ、適切な対応をとってもらえなかったという。
「女性自衛官へのセクハラ対応という意味では、本当に最低な組織だと思います。五ノ井さんの告発を真摯に受け止めて変わってほしいです」(同)
同じ陸上自衛隊内部で「20年以上前からセクハラはひどかった」と語るのは、元陸上自衛官の女性・Bさんだ。
Bさんは、高校を卒業後の1992年に入隊し、九州にある西部方面隊に8年間在籍した。入隊当時は、まだ18歳だった。
「世の中を知らない状態で入隊したので、セクハラやパワハラは当たり前だと思わされていました。上官や先輩の言うことは絶対。非常に閉鎖的な世界なので、今思えば、ある種の洗脳状態だったと思います」
駐屯地には約1000人の隊員がいたが、女性はわずか10数人だけ、という時代だった。当時の女性自衛官の環境について、Bさんは「北朝鮮の喜び組」や「塀の中の風俗嬢」だったと言い放つ。
「女子がいれば場の雰囲気が明るくなるという理由で、接待要員として使われることが多々ありました。当時、世間では男女平等が叫ばれ始めていましたが、自衛隊はまだまだ男性優位で特殊な世界でした」
週末は金曜日の夕方から外出することができた。上官から「おまえ、週末なにするとや~」と声をかけられ、Bさんが「いろいろです」と答えると、上官は「どうせ彼氏とヤリまくるんやろ」と笑いかけてきた。週明けに部隊に戻ると「何回ヤッたや?」と改めて聞かれる。こんなやりとりが、日常の会話だった。
男性隊員が酔って、下半身をポロリする光景は、もはや“普通”だった。初めの頃こそ、Bさんは「イヤー!」と目を覆ったが、慣れてくると「はいはい、もういいよ。早くしまって」と受け流した。
生理の時には、男性隊員の前で申告しなければならなかった。Bさんの生理周期を把握し、「おまえ、そろそろ生理やろう」と声をかけてくる男性隊員もいた。