日本だと小川良成も三沢光晴も川田利明もデビューしたてはみんな田舎臭いけど、2~3年経つと色気づいてカッコよくなっていくんだよ。最初からカッコよかったのは、中邑真輔くらいじゃないか。彼は初めて見たときからセンスがよくてスタイリッシュだった。青山学院でアマレスをやっていて、それからプロレスに入って、WWEで活躍するんだから大したもんだよ。アメリカはチャンスをくれるし、スターになれる可能性があるね。新日本プロレスも若手を抜擢するけど、全日本プロレスは段階を踏んでステップアップするしかないから、なんか泥臭いんだ(笑)。いい悪いは別にしてね。全日本の方が、長年見ているファンからしたら安心感もあるだろう。
新日本では武藤敬司もプロレス自体は昭和のスタイルを引きずっているけど、フレッシュ感があって、一気にスターになったね。上にいた長州力たちが抜けて、武藤、橋本真也、蝶野正洋がスポットを浴びて、生き抜いて、大きな新日本を引っ張ってきたんだからすごいよ。蝶野もちょっと変わっているよね。帰国子女だからか、考え方がスマートというか、プロレスも新日本もビジネスとして割り切っている。それは中邑や武藤にも共通しているかな。俺たち相撲上がりはどうしても泥臭いんだよね。もともと力道山関が作ったものだから、俺たちには色濃く受け継がれたけど、逆にそれが無くなった時代に入ってきた人は、はつらつと見えるんだろうなぁ。これからは武藤と蝶野にゴマすっていくか。
話しは地方に戻るけど、地方のよさは人間がフレンドリーなところだね。人と人との距離が近いし、自分のこととまでいかないけど、親類縁者のようにこちらのことを考えてくれる。都会だと「天龍源一郎」と言ってもシレっとしているけど、田舎だと「おお! 天龍だ! 頑張れよ!」とか「天龍さん、昔どこそこの会場に試合を見に行ったんですよ!」って、すぐ声をかけてくれる。それが励みにもなるし、俺も頑張らなきゃなって思ったもんだ。最近では都会でちょっと有名より、田舎で有名な方がいんじゃないかって思うようになって、代表(娘の紋奈さん)には「地方のテレビ番組の仕事をとってきて」とお願いしているんだ。これからは地方に活路を見出すかな(笑)。