
作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。11人目のゲストは東大でミドリムシ研究に打ち込んだ出雲充さんです。
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大宮:1月17日がお誕生日だと伺いました。おめでとうございます。ユーグレナカラーってことで、緑だけで花束を作りました。
出雲:ありがとうございます。すごいステキ。えー、うれしい!
大宮:あ、出雲さん、ネクタイも緑ですね。いつもそうなんですか?
出雲:これしか持っていません。
大宮:本当ですか。ユーグレナって和名でミドリムシのことなんですよね。名前のインパクトがあって……。飲食店メニューなんかもあるって聞きました。
出雲:ユーグレナの粉末の入った食事ですね。
大宮:まだユーグレナをよく知らなくて。クロレラとも違いますよね。
出雲:産業としてはクロレラの方が先にデビューしました。ユーグレナはクロレラの弟分みたいなもんなんですよ。
大宮:顕微鏡をのぞいたぐらいのイメージしかないです。
出雲:薬学部ですもんね。
大宮:もう全然覚えてないですけど。
出雲:これがユーグレナの動画です。
大宮:うわー、動いてるー!!
出雲:そうなんです。もうこれが全てです。ユーグレナは光合成する植物プランクトンです。
大宮:植物プランクトンって動くんでしたっけ?
出雲:動きません。植物ですから。ひまわりとか自分で動いたら、かなりびっくりじゃないですか。
大宮:そうですよね。じゃあ植物プランクトンで動くのってユーグレナだけなんですか。
出雲:そうです。
大宮:えー!
出雲:そうびっくりしてもらえると、一番うれしいです。ユーグレナは私の子どもみたいなものですから……。植物と動物のいいとこ取りをしたスーパー微生物ちゃんですね。
大宮:動くっていうのは、やっぱりいいことなんですか。
出雲:最高ですよね、動けるっていうのは。植物にとってお日さまはすごく大切ですから。例えば、日当たりが悪くても、植物は動けないから、日当たりのいいところに行けない。でもユーグレナちゃんは、明るいところに移動して光合成ができる。究極の植物なんですね。もう奇跡としか言いようがないですよね。