舌がんのできやすい場所と症状
舌がんのできやすい場所と症状

■早期は放射線治療も選択肢の一つに

 早期でリンパ節転移が認められず、腫瘍の大きさが4センチを超えないといった条件を満たせば、根治を目的とする放射線治療も選択肢となる。「小線源療法」といって、がん組織とその周辺に放射線を発する針などを刺し、内側からがんに照射する。

 舌の機能を温存できるが、医療従事者側の被ばくのリスクといった問題から、実施している医療機関は限られている。

「部分切除の場合、発音がやや悪くなることがあるので、アナウンサーなど正しい発音をおこなうことが不可欠な職業の人にとっては、小線源治療のメリットは大きいでしょう。ただし、治療後長い年月が経つと、舌が萎縮してきて部分切除した場合と変わらない状態になりやすいということも理解しておく必要があります」(吉本医師)

 リンパ節を残すので、治療後はより注意して経過をみる必要がある。

 転移がリンパ節の外にまで広がっている場合は、術後の追加治療として、抗がん剤併用の放射線治療を実施する。

 舌がんの再発は、治療後1~2年の比較的早い時期に起こる。遠隔転移や再発がんには、近年、薬物治療の選択肢が増え、抗がん剤に加え、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬も使用できる。これらの薬剤は効果が出れば、以前よりも生存期間の延長が期待できる。

「頻度は少ないのですが免疫に関連する重大な副作用が出ることもあるので、薬物療法の経験が多い医療機関で治療を受けるのが望ましいでしょう」(同)

(文・中寺暁子)

※週刊朝日2022年8月19-26日号より

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