安倍晋三元首相の銃撃事件から1カ月ほど経ったころ、「山上徹也容疑者の母親が記者会見を開くらしい」との情報が駆けめぐった。しかしその後、話はうやむやに。母親は一時、親類宅に身を寄せていたようだが、現在は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係者に保護されており、いずれ何かしらの発表をする予定という。現在はどんな心境で過ごしているのだろうか。
事件直後から山上容疑者の母親(Aさん)を、大阪府内の自宅でかくまっていたという山上容疑者の伯父がこう話す。
「事件後すぐに、タクシーに乗って大阪まで来いと呼んだのです。それから1カ月ほどはずっと、うちの2階にいました。その間、奈良地検の事情聴取に2回応じた程度です」
Aさんの旧統一教会に対する思いについては、
「旧統一教会への信仰は解けていません。うちの2階でも旧統一教会の本を読み、奈良地検にも『教会に申し訳ない』と話したらしく、どこに謝罪しているんだ、と思いました」。
その後もAさんの動きを注意深く見ていたという伯父だが、
「8月5日くらいから、こそこそとだれかと電話するようになり、『記者会見したい』と言い出しました。旧統一教会を信じたままで記者会見なんてとんでもないと注意しました。利用されかねませんし。すると急に『出ていく』と言い出して、旧統一教会の関係者が用意したと思われるタクシーに乗っていなくなりました」
と振り返った。
その後、Aさんは大阪市内のホテルに滞在し、現在はマンションに仮住まいという。
伯父によると、Aさんが自宅から出ていったのは、旧統一教会の関係者であるX氏の勧めだったという。旧統一教会の奈良教会の元教会長で、Aさんが旧統一教会に寄付した1億円以上ともされる金額を、弁護士だった伯父が取り返そうと内容証明郵便を送付した時に、示談交渉に出てきた人物でもある。
旧統一教会は5千万円を分割でAさんに返金することで合意し、それを自宅に届けていたのもX氏で、山上容疑者とも親しくなり、メールでやり取りするようになったという。事件後、奈良県警の取り調べも受けている。