欧州競馬は夏の主要レースを終え、いよいよ秋のクライマックスへ向けて有力馬たちが最後の追い込みに入ってきた。日本の競馬ファン最注目はやはり10月の凱旋門賞ということで、初夏に続いて再び凱旋門賞に関する最新動向をチェックしてみよう。
今年の日本総大将はタイトルホルダー。天皇賞(春)と宝塚記念を連勝したことが高く評価され、主要ブックメーカーの前売りでも一時は凱旋門賞の1番人気とされたほど現地での評価も高い。
気になるのは6月の宝塚記念から直行となるローテーションか。過去20年の凱旋門賞勝ち馬を見ても、9月にレースを使わずに勝ったのは7月のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス5着から巻き返した2010年のワークフォースと、8月のヨークシャーオークスから連勝を決めた2017年のエネイブルのみ。日本から遠征して2着に入った3頭も、欧州に長期滞在していたエルコンドルパサーも含めていずれも9月に現地でひと叩きしていた。
なお逃げて勝ったのも1996年のエリシオが最後という展開面も心配されたが、宝塚記念でのタイトルホルダーはパンサラッサを行かせて2番手に控えながらも危なげなくレコード勝ちと新境地を見せた。道中でハナ争いになった際の不安はまだ残るが、レース展開に幅が出たのは好材料だろう。
今年のダービー馬ドウデュースは9月に前哨戦のニエル賞を使う予定。ここにはパリ大賞の勝ち馬オネストが登録しているが、同馬は引退後の種牡馬価値を高めるために中距離のアイリッシュチャンピオンステークスに向かう可能性を報じられている。そのほかに現時点の登録馬で目立つのはパリ大賞2着のシムカミル、愛G3ガリニュールステークス勝ちのハンニバルバルカくらいで、欧州遠征にドウデュースが適応できれば順当勝ちも見込める相手関係だ。
2年連続で凱旋門賞に挑戦するディープボンドは、前哨戦のフォワ賞を制して臨んだ昨年と違って今年は直行予定。昨年はスローペースのフォワ賞を逃げ切ったが、本番では最下位の14着と大敗した。凱旋門賞はスタミナとパワーを問われるレースだがステイヤータイプの好走は意外に少なく、タイトルホルダーと違ってスピードの裏付けがないディープボンドが対応できるかと言われると、強調材料に乏しいのが現実だろう。