それに関しては、ひと足早く渡欧して8月28日のドーヴィル大賞で2着だったステイフーリッシュも同様だ。2月にサウジアラビアでのレッドシーターフハンデキャップ、3月にドバイゴールドカップと長距離の海外重賞を連勝したステイフーリッシュだが、中距離の宝塚記念は9着に完敗。2500mのドーヴィル大賞では逃げるもG1未勝利のボタニクにあっさり差されての2着だった。
では次に日本馬を迎え撃つ欧州馬たちをチェックするが、英ダービーなどが終わった6月の時点で凱旋門賞の注目馬をピックアップした際には「古馬の層が薄くて3歳馬が驚異」と書いたものの、競馬界はまさに盛者必衰の理をあらわす厳しい世界。あれから2カ月余りで勢力図は一変してしまった。
特に期待された3歳馬たちの後退ぶりが著しい。無敗で英ダービーを制して凱旋門賞の前売り1番人気だったデザートクラウンは脚部不安で今年全休が決定。愛ダービーを制したウエストオーバーと英オークス2着馬エミリーアップジョンは7月のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスで古馬の伏兵パイルドライヴァーの前に揃って大敗して評価を大きく下げた。
一方で大駒不在と見られていた古馬勢だが、初の中距離戦だった8月の英インターナショナルステークスで衝撃の6馬身半差勝ちを見せた10戦無敗の最強馬バーイードが、馬場状態次第で凱旋門賞に挑戦する意向を示した。
2走前まではマイルしか走ったことがないバーイードだが、父シーザスターズは現役時代に英ダービーや凱旋門賞を勝ち、産駒も英愛ダービー馬ハーザンドや英オークスとキングジョージを連勝したタグルーダなどクラシックディスタンスで活躍した馬が多数。バーイードの全兄フクムも今年の6月に12ハロンのコロネーションカップを制したように血統的にはむしろ距離が伸びて真価を発揮するタイプに見える。
このバーイード参戦報道まで、日本馬タイトルホルダーと前売り1番人気を争っていたのは5歳牝馬のアルピニスタ。昨年にベルリン大賞、オイロパ賞、バイエルン大賞と独G1を3連勝し、今年も牡馬相手のサンクルー大賞、8月のヨークシャーオークスを連勝中と勢いは衰え知らずだ。ただしこの臨戦過程を見ても分かるようにトップオブトップの馬たちとはほとんど対戦しておらず、バーイードに太刀打ちできるかはかなり怪しいところがあるのも否めない。
昨年に人気薄で凱旋門賞を制して世界を驚かせたドイツ馬トルカータータッソはキングジョージでは不向きな高速馬場にも対応して2着を確保。昨年同様に9月4日のバーデン大賞から凱旋門賞連覇を狙う。