ちなみに隠し玉としてひそかに期待していた豪G1を11勝の女傑ベリーエレガントは欧州移籍初戦だった8月21日のジャンロマネ賞でまさかの最下位(7着)。陣営は休み明けを敗因に挙げて本番前にもう1戦する意向で、その結果を見て凱旋門賞での取捨を判断したい。
代わって新たな穴馬となり得そうな存在はというと、3歳馬に面白そうな2頭がいるので最後に紹介しよう。1頭はドイツ馬のサンマルコ。7月初めに独ダービーを制すと、その月末にはG1ダルマイヤー大賞で古馬を撃破している。
9月のバーデン大賞ではトルカータータッソと対戦予定で、その結果次第では凱旋門賞への追加登録を前向きに検討すると陣営は話している。ちなみにバーデン大賞から凱旋門賞というローテは昨年のトルカータータッソと同じだ。
もう1頭は名門A.オブライエン厩舎のルクセンブルク。もともと2歳時は英G1フューチュリティトロフィーを含めてデビュー3連勝し、今年初戦だった4月の英2000ギニーでも3着と好走。キャメロット産駒で距離延長がプラスになりそうな英ダービーの有力候補だったが、脚部不安で長期休養となる不運に見舞われた。
それでも復帰戦だった8月13日の愛G3ロイヤルホイップステークスを勝利。この後はアイリッシュチャンピオンステークスから凱旋門賞という青写真を陣営は描いており、仏ダービー馬ヴァデニや古馬の安定株ミシュリフらが相手となる愛チャンピオンSの内容次第では凱旋門賞でも面白い存在となりそうだ。
近年は日本からの挑戦の結果が芳しくない凱旋門賞だが、それでも出る限りは勝つチャンスもある。特に今年はタイトルホルダーが現地でも高く評価されているように例年以上に期待が持てるため、悲願達成の瞬間を見逃さないように注意しよう。今年の凱旋門賞は日本時間で10月2日、23時5分の出走予定だ。(文・杉山貴宏)