「現在は成蹊大学と国際教養大学(AIU)で授業を持っています。成蹊大学で教えるようになったのは、人とのつながりがきっかけです。知り合いを通じて連絡をいただきお話を伺ってみて、私自身とても教育には興味があったので面談していただき、去年から授業を受け持っています。
成蹊大学にはEAGLEという新しいグローバル教育プログラムがあり、私はその中の『Intensive English』『Current Topics in Business and Economics』『English at the Workplace』等を担当しています。内容は比較的自由な科目ですから、時事問題を扱ったり、ディスカッションの仕方を教えたりと、さまざまな実用的なテーマを取り扱っています。授業は課題なども含めすべて英語で行いますが、私が心がけているのは“英語を学ぶ”のではなく、“英語を使って学ぶ”こと。そして、私が一方通行に話すのではなく、学生にどんどん発言してもらい、インタラクティブな授業にすることです。
日本では時事問題を英語でディスカッションする機会が少ないと思いますが、実はディスカッションにはテンプレートみたいなものがあり、相手の発言に同意しながら自分の意見を述べるといったテクニックがあればハードルはぐんと下がります。最初はみんな恥ずかしがっていますが、だんだん話せるようになっていく過程を見るのがすごくやりがいがありますね」
秋田にある国際教養大学(AIU)は、ほとんどの授業を英語で実施し、1年間の留学も必須とするなど、特色あるグローバル教育を行っている公立の4年制大学。同大学でも廣津留さんの授業は人気だ。
「私は『Music Beyond Borders』という授業を担当していて、音楽を切り口に、教育、ポップカルチャー、スポーツ、心理学など、さまざまなトピックと音楽のつながりについて学ぶ内容をデザインしています。学生たちの質問がとても鋭くて、私が考えてもいなかったことを聞かれて驚くことも……。教壇に立つということは軽い気持ちではできないのだなと、日々実感しています」