須貝医師のもとでは、3カ月ごとに認知機能をチェックして経過をみていく。そして「リバーター」を目指して、運動・会話・食事を3本柱とする生活改善の指導をおこなっている。
「有酸素運動がMCIの進行を抑えるという研究報告は複数あります。当院の患者さんをみても、ラジオ体操やスイミングなどを続けている人は認知機能が下がりにくい。手軽で効果が期待できる方法として、1日8千歩のウォーキングをすすめています」(同)
外に出て社会活動や趣味に取り組み、家族以外の人とも会話することは脳の活性化につながる。生活習慣病は認知症のリスク因子となるため、栄養バランスの良い食事で腸内細菌を整えることにも意味がある。すでに病気がある人はしっかり治療しておきたい。
「認知症になる時期をできるだけ遅らせることを目標にしましょう。83歳でMCIと診断されたとしても、生活改善などで発症を88歳まで延ばすことができれば、それはもう自然な老化と、ほぼ変わりません」(同)
現代の医療では、認知症を100%防ぐことは困難だが、できることはたくさんある。
(文・出村真理子)
※週刊朝日2022年9月9日号より