さらに、認知症を引き起こす病気を確認するために、血液検査や画像検査もおこなう。CTやMRIでは脳の萎縮や梗塞・出血などの有無がわかる。「脳血流SPECT」という検査もあり、脳の各部における血流状態や働きが評価できる。

 これらにより次の3要素をみて、認知症かどうかの診断をしていく。

1.問診や神経心理学的検査で、認知機能の低下が確認できる

2.認知機能の低下により、生活に支障を来している

3.血液や画像の検査で、認知機能の低下を引き起こしている疾患を診断できる

 早期受診の重要性について、塚本医師は次のように話す。

「治療で治せる病気が原因の可能性もあります。治らない病気であっても、早期発見することでその後の病気の進み方がわかり、ライフプランを調整することができます。患者さんの人生を考える上で大切なことです」

 認知機能の低下があっても日常生活が保たれているなら、正常な状態と認知症の間の「軽度認知障害(MCI)」と診断されることがある。MCIについては後ほど詳しく紹介する。

 悩ましいのは、認知症ともMCIとも診断されなかったが、物忘れで困っていて、不安が晴れない場合だ。どうすればいいのか。

「3カ月に一度ぐらいのペースで経過をみていけると安心です。MRI検査は1~2年に一度でいいでしょう。持病で定期的に通院している人はかかりつけ医に、物忘れについても注意してみてもらえるよう相談してはどうでしょう。変化があれば専門医に紹介してもらえます」(塚本医師)

■認知症への移行を生活改善で遠ざける

 話を前述のMCIに戻そう。異常はあるが認知症にはなっていない状態のMCIは、診断1年後に5~15%、5年後には40%が認知症を発症するとのデータがある。

「逆にみれば、5年たっても60%は認知症にならないということ。実際に経過を見ていくと、『認知症に進む人』『MCIのままの人』『改善する人(リバーター)』の3群に分かれることがわかっています。認知症へ移行しないように、できることがあります。ですから、MCIのうちに早期発見できることはとても重要です」(須貝医師)

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