■貨物新幹線構想は以前にもあった
ちなみに、貨物新幹線構想は以前にもあった。
2010年ごろ、JR北海道は北海道新幹線と在来線の共用区間において、コンテナを積んだ貨車ごと新幹線規格の貨車に載せたあと、その両端に新幹線規格の電気機関車を連結し、200km/hで走行する「トレイン・オン・トレイン」の開発を進めていた。実用化の暁には、青函トンネルの本州側付近と北海道側付近にボーディングターミナルを設ける青写真を描いていたが、実現には至らなかった。
仮に「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」が貨物新幹線にトレイン・オン・トレイン方式を選択した場合、夜間の東京から鳥飼車両基地までは貨物新幹線、鳥飼車両基地から先は深夜の在来線貨物列車として運行することで、新幹線が0時から6時まで運転できない制約をクリアできる。
実用化に向けては、新幹線規格の電気機関車を開発するほか、新幹線規格の貨車内での脱線防止対策、新幹線路線を走行中に地震が発生した場合の脱線転覆防止対策も必要になる。
さらに新幹線規格の貨車は車体がオール2階建て新幹線Max(定期運行終了)なみの高さが必要になることや、在来線の貨物列車を載せるため、相当な重さになることが考えられる。最高速度もJR北海道が描いた200km/hのままになるだろう。(文・岸田法眼)
〇岸田法眼(きしだ・ほうがん)/『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『論座』(朝日新聞社刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある。また、好角家でもある。引き続き旅や鉄道などを中心に著作を続ける。