JR貨物の大阪貨物ターミナルと隣接するJR東海の鳥飼車両基地。将来は新幹線物流の拠点も兼ねる可能性を秘めている(撮影/岸田法眼)
JR貨物の大阪貨物ターミナルと隣接するJR東海の鳥飼車両基地。将来は新幹線物流の拠点も兼ねる可能性を秘めている(撮影/岸田法眼)

 2つ目は、ホームの長さだ。東海道・山陽・上越新幹線と、東北新幹線の東京―盛岡間は、ホームの長さがフル規格の新幹線電車16両編成分もあり、貨物新幹線としては最大限の輸送力を確保できる。

 しかし、東北新幹線の盛岡以北と北海道新幹線は10両編成分、北陸新幹線は12両編成分、九州新幹線は8両編成分である。例えば、東京―鹿児島中央間に貨物新幹線を走らせる場合、最大8両編成での運転を余儀なくされる。

 3つ目は、新幹線の車両基地に隣接した貨物ターミナルが少ないことだ。貨物新幹線を実現するには、搬入、搬出などを行う貨物ターミナルの整備が必要になる。現状では新幹線の車両基地に隣接したところであれば、敷地内の改良工事など、最小限で済むものと思われる。これに該当するのは東海道新幹線の大井車両基地(東京貨物ターミナルに隣接)、鳥飼車両基地(大阪貨物ターミナルに隣接)、上越新幹線の新潟新幹線車両センター(新潟貨物ターミナルに隣接)のみだ。

 さらに大井車両基地からは新大阪方面へ向かうことができず、東京折り返し。鳥飼車両基地は下りの京都から直接入庫することができず、新大阪折り返し。上りは鳥飼車両基地で折り返し、再び新大阪に向かわなければならず、手間がかかってしまう。取り扱いが簡素なものについては、駅で搬入、搬出などをしたほうが早いことも考えられる。

 4つ目は、安全面だ。貨物列車は「コキ」と呼ばれる平らな貨車に様々なコンテナを載せ、速くても100km/h程度で走行する。貨物新幹線は倍の速度で走るので、在来線と同じやり方だと、コンテナが走行中に外れてしまう恐れがある。

 また、貨物列車は石油や産業廃棄物なども運ぶが、安全面などを考慮すると、貨物新幹線にそれらを載せるのは厳しいものと思われる。

 以上を考えると、貨物新幹線は本や飲食物など生活に必要なもの、宅配便、郵便物、危険物にあたらない物品に限定されてしまうかもしれない。

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貨物新幹線構想は以前にもあった