翌日必着にするためには、現状では航空便を使うほかない。しかし、日本国内を結ぶ貨物機がなく、旅客機の貨物スペースに載せており、輸送力はそれほど大きくない。(2024年4月、日本航空とヤマトホールディングスが連携して貨物機の運航を開始し、羽田・成田と新千歳・北九州・那覇空港を結ぶ予定だ)

 もし貨物新幹線が実現したら、現行の新幹線ネットワークを考えれば、東京から北海道、四国、九州の一部では、翌日の配達が可能になるかもしれないと、私はみている。貨物新幹線の車内に冷蔵倉庫や冷凍倉庫を設けるならば、魚介類などの生モノの輸送もできるだろう。

 また、新幹線は気象の変化に強いという点もメリットになる。在来線では、台風や豪雨で被災し、10日以上の長期不通を余儀なくされることがある。その路線を利用する貨物列車が影響を受けた場合、迂回ルートによる運行、トラックによる代行輸送が行われるが、時間を要してしまう。

 トラックについても、高速道路、一般道路に関係なく、大雪で長時間立ち往生という事態も発生しており、物流輸送が大幅に遅延する要因にもなっている。

 新幹線は在来線に比べると地平区間が少なく、高架やトンネルが多いことから、大雨や大雪で長期不通に見舞われたことはない。物流輸送の遅延を最小限に抑えられる可能性を秘めている。

■ハードルやデメリットも

 一方で、貨物新幹線が実現するにあたっては、いくつかのハードルやデメリットがある。

 1つ目に、運行時間だ。貨物列車やトラックは、多くの人々が寝静まった深夜帯に走ることが多い。かつて東京―大垣間で運転されていた快速<ムーンライトながら>(夜行列車)では途中駅で貨物列車に道を譲っていた。夜行の高速バスが走る時間も、深夜帯はトラックの走行が大変多く、サービスエリアではトラックがびっしり駐車した姿を見たことがある人も多いだろう。

 ところが新幹線は0時から6時までは線路の保守、点検などに充てられており、列車の運転ができない。このため、貨物新幹線が実用化したとしても旅客列車と同じ6時00分から23時59分までの運転に制約される。仮に東京―博多間で日付をまたぐ貨物新幹線を走らせる場合、途中駅で6時間以上の停車をすることになる。

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