翌日に動物病院に連れていくと、脱水がひどいことがわかりました。まだ少し興奮していたので、洗濯ネットの中で点滴と抗生剤を打ってもらいました。
年齢はよくわからず、口の中は犬歯だけ。猫白血病ウイルス感染症と猫エイズは陽性でしたが、それが発症している感じではなく、「まず点滴で脱水をよくしましょう。何日か続けて通院を」と言われました。
少し安心して家に戻ると、チチもリラックスした感じになりました。トイレは教えることなく、自分から砂箱に入ったので、「やはり過去に、室内で飼われていたのだろう」と思ったものです。
2日目の朝になるとチチはさらにくつろぎ、ハウスの敷物を前脚でもんでグーパーグーパー。病院に行く時も洗濯ネットに入れなくてすむようになり、病院でも気持ちよさそうにしました。そして3日目。先生は「じゃあもう少ししっかりみようね」と触診してくださったのですが、少しして「あっ」と声を出し、表情を変えました。
■家族としてのふれあいが看取りの時間に
「無理してごはんを食べさせなくていいですよ」
そう先生がおっしゃった時、厳しい状況だとわかりました。それまでは何か食べられるのではないかと、いろいろフードを試しましたが、そんな段階ではなかったのです……。
それでも少しでもチチの負担が軽くなるよう、先生が点滴の仕方を教えて下さり、翌日から家で私が点滴を打つことになりました。
チチはおとなしく打たせてくれて、体をなでるとうれしそうにのどをグルグル鳴らし、前脚をグーパー、グーパーしました。本当に甘えん坊です。
迎えて以来、ずっと天気が悪かったのですが、曇りの日にベランダに出すと、鳥の声を聞いたり、外の空気の匂いを嗅いだりして、気持ちよさそうにしていました。
点滴をすると少しは楽になるようで、チチとの時間がこのまま少しでも長く続けばと願っていたのですが……。
次の点滴パックを病院にもらいにいった夜、急に具合が悪くなり、頭をあげることもできなくなりました。けいれんをおこし、持ち直し、を繰り返し、深夜、主人と私が見守るなか、息をひきとりました。
家に連れてきてから10日目のことでした。