1月30日、朝も昼も公園にいなかったチチに、久しぶりに会えました。すると、背中の骨がわかるほどやせていたんです。持ち上げたらびっくりするくらい軽くなっていて、「こんなになっていたの?」と、その軽さに思わず泣けてきました。
その時、同じようにえさやりをしている若い女性と会い、「この子やせたでしょう?」「やせましたね」と会話をしました。
女性が「1~2週間は食べていない」というので、状態が悪いのだろうと思ったのですが、まだ私は先に進めませんでした。すると、その若い女性がこうつぶやいたのです。
「この子はどうしてほしいんでしょうね」
私はいったん家に戻ったのですが、その言葉が頭から離れませんでした。チチは「どうしてほしい」のか。一晩考えたけど答えが出ません。でも翌日、強く思ったんです。
「チチがどうしてほしいのかわからないけど、私が家に連れて帰ろう!」と。
つかまえるための洗濯ネットと軍手とバッグを持っていくと、公園の管理棟の敷地にチチが弱々しくたたずんでいました。通りかかった職員に話して通用門を開けてもらい、保護を手伝ってもらいました。
私はチチのそばに行き、今がチャンスだ、と軍手のことを忘れて素手でつかまえてネットに押し込もうとしました。驚いたチチは大暴れして、ガブーッと私の両方の親指をかみましたが、“この手を離したら二度と会えない”と思い、血をだらだら流しながら、家に連れ帰ったのです。
■動物病院で先生の顔色が一変
家にあった簡易ペットハウスを主人の部屋にセットし、そこにチチを入れましたが、不安なのか、シャーシャー威嚇。
しばらくそっとしておこうと思い、その間に私は、腫れあがった自分の手の治療のため病院を探し、薬をもらってきました。猫の口内は雑菌があり、かまれたら熱が出ることもあります。そうなるとチチの面倒もみられません。
最初の晩、チチは緊張していましたが、でも鳴くことなく静かにハウスにいました。